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    【取材してきました vol.023】ゆかりの会:第1回~自死遺族のためのセルフヘルプ・グループ~

    投稿:   更新:2018/06/20

    カテゴリー:北海道 離婚・別居 地域別情報 特集記事

    運営メンバーの皆さんも自死遺族というゆかりの会さん。だからこそ、セルフヘルプグループでは、親しい身近な方を亡くされた当事者にしか分からない深い感情のひだを心の奥で分かり合えるという安心感があるのかもしれません。そんなゆかりの会さんへの取材記事、ウタリくらぶ取材班・西川明子だからこそできた取材です。どうぞご覧くださいませ。

    ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。

    今回お話をお伺いしたのは、北海道札幌市、帯広市などで活動をしている「セルフヘルプ・グループ&自死遺族専門カウンセリング ゆかりの会」の運営メンバー、徳橋由希子さんです。運営メンバーの村上麻衣子さん、田山ともかさんにもご同席いただきました。(この記事は、2回に分けて掲載いたします。)

    第2回~あなたは一人ではありません。~】を読む→

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    取材のきっかけ

    ウタリくらぶでは、ひとり親のために役立つ情報を提供していますが、これまで離別でのひとり親当事者への取材が主となっていました。

    ひとり親支援のはじまりは、戦争未亡人救済のための国の支援策であったため、当初は死別のひとり親を想定していたようです。

    [PDF]母子及び寡婦福祉法成立までの歴史的経緯

    そのため、以前からパートナーと死別したひとり親に必要な支援について関心を持っておりました。

    「[PDF]ひとり親家庭の現状とひとり親施策の課題(平成23年全国母子世帯等調査の概要)について(厚生労働省)」を見ると、ひとり親世帯になった理由のうち死別によるものが、母子世帯123.8万世帯のうち、7.5%、父子世帯22.3万世帯のうち、16.8%を占めています。

    また、「平成27年人口動態統計の年代別死因(厚生労働省)」には、20代と30代では、自殺が1位、40代では2位、50代では4位と、子育て世代の死因に自殺の割合が高くなっています。

    以上の事から、死別でのひとり親になる理由として、パートナーの自死の割合が必然的に高くなっていることがわかります。

    今回は、についての自助グループやカウンセリングの活動を行っている民間団体へ取材をさせていただきました。

    実は、わたしは実母を自死で亡くしている自死遺族でもあります。
    パートナーではありませんが、家族を自死で亡くしている当事者として、実際に自助グループに参加することが出来ました。

    ゆかりの会 プロフィール

    2014年5月、札幌・帯広・中標津・東京などに在住する自死遺族が立ち上げ、家族や友達を自死で亡くしたこと、自分の気持ちを話すことで少しずつ心の傷を癒すことができた経験から、心から安心して話すことができる場の必要性を感じ、セルフヘルプ・グループ、自死遺族専門カウンセリング、情報発信・共有などを行っている。

    ゆかりの会運営メンバーは、北海道を本拠地とするHMG(ホリスティックメディカルグループ)FCC&C(ファミリーチャイルド カウンセリング&クリニック)(旧・FCCN)代表、阿部ゆかり・自死遺族ケア専門カウンセラー育成講座2013年度札幌講座の修了生。

    縁を大切にしたいという気持ちから、「ゆかりの会」という名称にした。

    蓮の花を会のイメージにし、花言葉は神聖・清らかな心・雄弁・沈着・救ってください。蓮は泥より出でて泥に染まらずと言われ、中国・日本で純粋や善性の象徴とされている。(引用:ゆかりの会とは

    ゆかりの会 運営代表・徳橋 由希子さん プロフィール

    北海道札幌市在住、平成22年に実妹を自死で亡くしている。
    同居する両親、特に母親のショックが大きくどう接していけばよいのか不安に感じ、自分の感じていることを話すことが出来なかった経験を持つ。

    FCCN・阿部ゆかり先生から、自死遺族専門カウンセリングを学び、「癒し」ということを知る。
    同じ自死遺族という立場の仲間ができ、自分の本当の気持ちを語ることで心が軽くなっていくことを実際に経験したことから。少しでも多くの人に、心の癒しを知ってほしいと、ゆかりの会で機会を提供している。

    HMG・FCC&C(旧FCCN)自死遺族ケア専門セラピスト、クリエイティブクラス契約認定セラピスト、クリエイティブクラス限定心理学講座修了、思春期講座(理論編)修了。(引用:ゆかりの会運営メンバー

    実際にセルフヘルプ・グループに参加して

    ゆかりの会・徳橋さんからのご提案で、私個人としてセルフヘルプ・グループに参加し、終了後に活動についてのインタビューをさせていただくことになりました。
    その場で話されていることに関しては、口外しないというルールになっているため、個別にお話しされていた内容は省きますが、当日は、スタッフ3名、参加者2名の参加がありました。

    参加者のお一人は、以前よりホームページからお問合せをされていたという男性の方で、パートナーとお子様を自死で亡くされた経験があるそうでした。
    スタッフの3名の皆さまにとっても、ご自身の気持ちや近況を語る場になっています。

    セルフヘルプ・グループのファシリテーターとしてスタッフのお一人が司会進行役となり、元々アルコール依存症のセルフヘルプ・グループのために作られたテキストを読みます。

    そして、順番に5~10分程度の持ち時間で、自由にご自身の気持ちを語ります。
    その際には、他の参加者やファシリテーターが相槌を打ったり、何かを聞き出したりは一切なく、語る言葉に静かに耳を傾けていました。

    最後に呼吸法で気持ちを整え、解散となりました。

    活動内容・セルフヘルプ・グループ

    ●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
    今日は、自死遺族のためのセルフヘルプ・グループに初めて参加させていただきました。
    一般的なコーチングや座談会などで、何か悩みについて語ってもよいという場で、たとえその場で話されたことは一切口外しないという約束であったとしても、自分が自死遺族であり、そのために悲しみを抱えているという話題は、場の雰囲気にそぐわないと感じたり、当事者ではない方からどのような見られ方をするかわからないという恐れから、ほとんど語ったことがありませんでした。
    この場では、参加者すべてが自死遺族であり、スタッフの皆さまが専門的な知識を学ばれているという安心感がありました。
    ぜひ、パートナーの自死によりひとり親になってしまった方のために、皆様の活動をお知らせしたいと思います。
    今日はどうぞよろしくお願いします。

    ●ゆかりの会運営メンバー・徳橋由希子さん(以下:徳橋):
    よろしくおねがいします。

    ●西川:
    では、ゆかりの会の発足についてお聞きいたします。
    クリニックや専門家の呼びかけにより結成されたのでしょうか?

    ●徳橋:
    運営メンバーは、当時は中標津、今は弟子屈にあるHMGホリスティックメディカルグループ・ファミリーチャイルドカウンセリング&クリニックの阿部ゆかり先生が開講する「自死遺族ケア専門カウンセラー育成講座」の同期生です。
    11人の受講生のうち、今日集まった3名と帯広在住の方と4名で、『こういう自助グループが、自分たちに必要だよね』という思いで発足しました。
    民間の自助グループを開いている先輩たちや、札幌市精神保健センターが主催している自助グループなどもありますが、学びを活かして、まずは自分たちのために、そして必要としてくれる方のために、セルフヘルプ・グループを開いています。

    ●西川:
    開催場所や日時は、定期的に行われているのでしょうか?

    ●徳橋:
    運営メンバーはそれぞれ仕事もありますので、都合をつけて開催をしています。
    日程は不定期となっています。
    会場は、札幌市内または帯広で、公共施設等で開催します。

    ●西川:
    これまでの活動場所をみると、交通アクセスのよい公共施設をご用意されているようですね。
    帯広にも、札幌の運営メンバーさんが出向かれているのでしょうか?

    ●徳橋:
    帯広には、わたしがたまに参加します。
    実は、札幌から帯広は、高速道路で3時間、約200㎞と、かなり離れた場所にあるのですが、それにもメリットがあるのです。
    参加してくださる方の中には、自死遺族であるという事を他人に知られたくないと思っている方もいます。
    そこで、近くで開催されている自助グループに参加すると、知っている人に会うかもしれないという心配もありますし、出張などのついでに帯広のセルフヘルプ・グループに参加してくださる方もいます。

    ●西川:
    そうなんですね。
    そういえば、以前、北海道女性の活躍支援センターでも、各自治体の相談窓口には、こみ入った話が出来ないという方が、地方から札幌に出てきて相談をするというお話を聞いたことがあります。

    [ウタリくらぶ内リンク]【取材してきました】北海道庁発☆全国初!北海道・女性の活躍支援センター 第1回~北海道女性の活躍支援センターってどんなところ?~

    ●徳橋:
    ゆかりの会は、必要な方がきていただけたらと考えていますので、PRについてもホームページに掲載する、開催会場にポスターを貼るといったことをして、目にとめていただいた方にご参加いただいています。
    今日、ご参加いただいた男性の方も、以前よりホームページからお問合せをいただいていました。
    開催日にすぐに都合がつくとは限りませんから、お仕事などのご都合がつくタイミングが合えば参加していただけるのです。

    ●西川:
    そうですね。
    知り合いに逢うかもしれない、という恐れも感じますけど、自死遺族ならではかもしれませんが、悲しみに連動した様々な感情を持っていて、それを吐き出すことはとても勇気のいることです。
    たとえ、この場で話したことは口外しないという約束をしていたとしても、信頼できる場であるかどうかにも、参加するかしないかに関わってくるような気がしました。

    ●徳橋:
    ご心配のとおり「この場で話されたことは口外しないでください」というスタンスはどの自助グループでも共通ですが、それが本当に守られるかどうかはわかりません。
    ですから、このような自助グループはたくさんあったほうがいいのです。
    場所や日時の選択があれば、必要な時に必要な方が参加できると思うのです。

    ●西川:
    そうですね、機会はたくさん用意されていると助かりますよね。
    自分の考えていることについて、最近はSNSなどを通じて個人が簡単に発信できる世の中になりました。
    ですが、自死遺族が抱えている悩みについては、当事者以外には理解しえない感情もあります。
    行政の窓口、臨床心理士など、支援する場は多数あるとは思いますが、運営メンバーの皆さんも自死遺族であることに加えて、専門的な知識を学ばれていることが、参加する方が「この場で自分の思いを語ることが許されている」と、安心して過ごすことが出来ると、実際に参加して感じることが出来ました。

    ●徳橋:
    セルフヘルプ・グループの目的は、自死遺族同士でしか、わからない感情を共有できる場を提供することです。
    他の自助グループでは、親族限定と参加要件が限られている場合もあるようです。
    わたしたちは、自死遺族とは、必ずしも血のつながりのある方に限らず、クラスメイト、職場の同僚など、親しい方を亡くされた方も含まれていると考えています。差別・区別は必要ないと考えています。

    ●西川:
    なるほど、もし隣の席に座っていた同僚にそういうことがあったりしたら、どれだけの悲しみと傷つきがあるかと想像するだけで辛いですね。

    ●徳橋:
    また、語り合うグループのカテゴリー分けをする場合もあると聞いています。
    お子さんを亡くした方のグループ、それ以外の方のグループといったように。ゆかりの会では今はカテゴリー分けをしない形にしていますが、人数が多ければ亡くされた方との関係性によって場を分けることも効果的な面があると思っています。
    悲しみとは、本人の気持ちですから、自分が話せることは話す、相手の話を聞いてどう感じるか、なのです。
    どなたが亡くなったのかに関わらず、自死遺族であるという共通の意識を持っています。

    ●西川:
    ファシリテーターが、話題を引き出すこともしませんし、それぞれの持ち時間で話をさえぎられることもないですよね。
    これまでに参加したグループワークなどでは、自死遺族の自助グループではありませんでしたので、ファシリテーターがストップウォッチで厳密に時間を計り、途中で話をやめさせられたりました。
    また、『こう思われていたんですね』、『その時どう思いましたか』、『お母さんに向かって、こう叫んでみて』と話を引き出そうとしたり、行動を促したりして、大変違和感がありました。
    最初に、「5~10分の持ち時間で話を聞きあいます」、とルールをお伝えしているのですから、柔軟に対応してもいいですよね。

    ●徳橋:
    私たちが学んだクリニックの先生から、そもそもカウンセリングする立場の教育を受けていますので、相手とのやり取りや距離感、感情の起伏が高まっているときに、突然に話をさえぎられることは、ストレスになると学んでいます。
    最後に呼吸法も一緒にやっていただきましたけど、神経レベルで感情を大切にしているので、極力参加している方の負担が少ないようにしています。

    ●西川:
    ありのままを受け入れてくれていると感じることが出来ました。
    さて、どなたを亡くされたとしても自死遺族として参加することが出来るとのことですが、親を亡くされたお子さんも参加することが出来るのでしょうか?

    ●徳橋:
    セルフヘルプ・グループにご参加いただいている方は、現在は成人された大人の方の参加がほとんどです。
    ですが、お子さんにももちろん必要だと考えています。
    子どものためのケアは大人の方への対応とはまた違う専門的な知識が必要ですので、ゆかりの会メンバーが児童期、思春期、家族への対応を学んでおり、未成年・お子さんにも対応できるように今後ご案内していく予定です。

    ●西川:
    なるほど、運営メンバーさんが、ご参加の方のために安心して場を提供するためには、専門知識を持っているという事が大前提であることが分かりました。
    また、参加費が100円と、大変参加しやすい設定にしてあることも驚きでした。

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    【取材してきました vol.023】ゆかりの会:第2回~あなたは一人ではありません。~」に続く…

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    投稿:   更新:2018/06/20

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