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【取材してきました vol.018】一般社団法人りむすび・しばはし聡子さん:第2回~「離婚をしても親は二人」ということが当たり前の世の中に~

投稿:   更新:2018/02/16

カテゴリー:世田谷区 離婚・別居 家族関係 東京都 地域別情報 特集記事

共同養育の先には、結果として子どもが両親から愛されて育つことにつながる、そこに至る後押しをしたい……しばはしさんのあたたかい気持ちの詰まった記事になっています。どうぞご覧ください。

ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。

今回は、共同養育普及についての活動をされているシングルマザー、一般社団法人りむすび代表・しばはし聡子さんにお話をお伺いいたしました。ぜひ、ご覧ください。(この記事は、3回に分けて掲載いたします。)

ウタリくらぶは、『』など、ひとり親を取り巻く社会問題について、中立的な立場で、取材先様のリアルな発言を記事にしています。

←【第1回~面会交流に消極的な同居親の一人だった~】を読む

第3回~今、気付きを得たいと思った方をサポートしたい~】を読む→

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共同養育推進の活動をはじめる

●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
ご自身の離婚経験と、面会交流に対して消極的だったことから、それを乗り越えるための様々な気づきを得て、親同士、親子同士の絆を再び取り戻すことを活動にする、と決意されたのですね。
私は普段親子のアタッチメント、愛着をテーマに活動をしているので、『り・むすび』という響きが、再生をイメージさせる素敵なネーミングだなと思いました。
それでは、『りむすび』さんとしての、具体的な活動について教えていただけますか?

●一般社団法人りむすび代表・しばはし聡子(以下、しばはし):
2016年4月に、まだ会社に勤務しながらですが、『せたがや離婚・面会交流相談室りむすび』を設立し、相談業務や面会交流の立ち合い、共同養育の必要性の発信を行うようになりました。
去年の6月末で会社を退職し、10月に法人化しました。

●西川:
ひとり親支援や面会交流に関わる活動をされるにあたって、なにか反発や圧力などはなかったでしょうか?
というのも、『面会交流』という言葉が、ひとり親を取り巻く多くの問題をはらむ、センセーショナルなトピックスだと感じています。
わたしも取材をしていく中で、当事者や支援に当たられている方の熱い思いや問題意識を感じています。
それぞれの立場の方から、個人的にご助言や申し入れをいただくこともあります。
目の前にいる方の立場を理解しようと、親身になってお話をお伺いしているつもりではありますが、双方相いれない状況で、片方を立てればもう片方が立たないという印象があります。

●しばはし:
うちはシングルマザーの支援ではなく、夫婦問題のトータルサポートが目的ですし、特段活動に対しての支障はありません。
ただ、面会交流に関しては、おっしゃるとおりで、お子さんと会いたい、会わせないと対立している双方は、お互い見えている景色が全く違います。
そしてその間に子どもがいるのです。
お父さん側、お母さん側それぞれに対して相手の気持ちや子どもの気持ち、そして自分自身が心がけることをお伝えし、よい着地点に導くのが私の役割です。

●西川:
一般的なひとり親支援の活動の場合、当事者片方の味方というか、いかに権利を主張するかにあるような印象があります。
また、調停や裁判と言った係争の場でお世話になる弁護士は、常に勝つか負けるかという視点になってしまうことも否めません。
昨今は、子の連れ去りなど、『まるで別れさせ屋のように指南している』、といった言われ方までされてしまうこともあります。
しばはしさんの活動は、夫婦双方の離婚後の子育てや良好な関係をサポートするという目的が、他とは違うところですよね。

●しばはし:
私は離婚問題や夫婦問題については、勝ち負けではないと思っています。
司法の場で書面だけのやりとりで争うことで、より関係が悪化するケースを沢山見ています。
双方だけで話し合いが困難なのであれば、ADRといって弁護士など専門家を仲介にして協議離婚をするという手段もあるんです。
お互い親同士の関係は続くのですから、争わず冷静に話し合いができる場として有効だと考えます。

[リンク]日本弁護士連合会 紛争解決センター(ADR)

●西川:
離婚届を出してしまう前に、もしかしたらお互い子どもを中心に考え、まだ出来ることがあるかもしれませんよね。

●しばはし:
親の離婚は、子どもにとって人生の大事件です。
引越しをしたり、友達と離れたり、ただでさえ辛い思いをしているのに、突然もうひとりの親と会えなくなってしまってよいのでしょうか。
子どもは同居親の顔色を読んで言葉を選びます。
『子どもが会いたくないと言っているから会せない』ということがありがちですが、子どもの言葉を鵜呑みにせず、その裏にある子どもの気持ちを慎重に見ていかなくてはならないですね。

●西川:
つい最近インタビューした方のお子さんも、離婚する前にはパパっ子だったのに、離婚後、ママが元夫との関係が悪くなったころ、お子さんが『もうパパは嫌いだから会いたくない』と言っているとのことでした。
同居親の心理をよく読んでいるなと、感じて切なくなりました。

●しばはし:
日本の社会全体に「ひとり親」という固定概念があって、子どもはひとりで育てるものだと思っているお母さんもいます。
もちろん暴力などは、適切な対応をする必要がありますが、夫から逃げる、守る支援から、別れても親は二人であるという気付きを得るような支援も必要だと考えています。

●西川:
しばはしさんの活動についての熱い思いが伝わってきました。
さて、気になったことがあるのですが、思春期真っただ中の中学生の息子さんの事です。
お母さんがひとり親であることをカミングアウトして、この仕事をされることについては、どうお感じになっているのでしょうか?

●しばはし:
いい質問ですね……。
実は最初は子どもに隠していました。
テキストや書籍の背表紙を裏にして本棚に置いたりなどしたりして。
でも、私自身が面会交流に積極的になって、家庭内で息子がお父さんの話が自由にできるようになったり、元夫との関係も良好になった頃、この活動についての話をしました。
最初はうんともすんとも言わなかったのですが、テレビにちらっと映ったり、雑誌に載ったりなどして、それを見て、『お母さんは世の中のために大事なことをしているんだ』と、今では応援してくれています。

●西川:
しばはしさん自身が元パートナーとの関係が良くなったことは、きっとお子さんにもよい影響があったんでしょうね。

●しばはし:
結婚していた時よりも確実に良いコミュニケーションが取れています。
メールだけですけどね。
今年は会って話すことも抱負の一つになっています。

実際の活動内容について

●西川:
では、実際の活動の内容について具体的に教えていただけますでしょうか?

●しばはし:
個人向けには、面談や電話、メールで相談業務をしています。
子どもと会えていないお父さんで妻の気持ちを知りたい、この状態を何とか良い方向に変えたいと思っている方からの相談が多いです。
最近では、子どもを会わせたくないけど前向きになるにはどうしたらいいかというお母さんからの相談も増えています。
面会交流当日の付き添いも行っています。
また、社会向けには、共同養育普及のために講演や研修・執筆活動を行っています。

●西川:
『りむすび』さんのホームページを拝見していると、思いやりや配慮が感じられる優しい雰囲気が特徴的です。
相談される方にも、きっと相手の立場に立って親身に対応されているのではないかと推察します。

●しばはし:
私自身当事者なので、夫婦の感情と親子を切り分けられないお母さん側の気持ちはよくわかりますし、多くの相談をお受けしていくなかで、理論武装していくお父さん側の気持ちも理解できるようになりました。
その双方の間に立ち、相手の気持ちを理解できるようにするためのサポートを心がけています。

●西川:
男性側の理論武装といいますと、社会的に高い立場の方や理知的な方からのプライドが高くとても攻略しがたいイメージがありますが、そのあたりはどのように対応されているのしょうか?

●しばはし:
その点は、前職の経験がとても役に立っています。
実は、会社役員の秘書の経験があります。
会社の重役に成り代わり、お取引先など相手の気持ちを汲むホスピタリティが身についていたおかげで、ご相談者や弁護士、有識者などに対して、丁重に信頼関係を深めていくコミュニケーションを取ることができています。

●西川:
会社の重役の方と言えば、会社の顔ともいえる存在です。
その方に成り代わってお仕事をするということはとても神経を使うことだったでしょう。
もし何か相手先に失礼をした場合、会社の沽券にかかわる問題になりそうですよね。
しばはしさんの以前のお仕事で培った相手の気持ちを汲み取りながらコミュニケーションをとり、双方の調整ができるという高いスキルがあってこその、りむすびさんの活動じゃないかと感じました。

●しばはし:
はい、連絡の仲介一つとっても、私が発信一つ間違ってしまうことによって、家族という大事なコミュニティを壊しかねないという、一件一件、丁寧かつスピードが求められる重要なことなのです。
秘書時代に培われた経験がここで役に立ってよかったです

●西川:
しばはしさんが、このお仕事につかれたのは、まさに使命のように感じますね。

●しばはし:
「離婚をしても親は二人」ということが当たり前の世の中にしていきたいんです。
私が子連れ離婚をした当事者であるということ、面会交流が最初からスムーズにできていた優秀なママではなく、最初は消極的であったこと、同居親、別居親両方の相談の実績があるということ、これらが、たとえば共同養育推進について行政に働きかけていく時に、エビデンスとして生きてきていると感じています。

●西川:
ご自身が当事者として悩み苦しみ、気付きを得て今は良好な関係を元パートナーともつなぐことが出来て、お子さんともうまくいっているということ。
相談者に寄り添える姿勢が身についていることが、きっと信頼を得ているのでしょうね。
逆に、お仕事をしていて難しいなと感じることはありますか?

●しばはし:
そうですね、同じ出来事だったとしても、ひと家庭ひと家庭すべて背景も夫婦や子どもの性格も違うので丁寧に見ていかなくてはなりません。
また、相談者の立場だけではなく相手の立場に立ってアドバイスをするため、相談者にとっては耳の痛いことも伝えることも。
初回は「頭ではわかるけど腹落ちしない」と言われることもありますが、時間をかけてお伝えしていくよう心がけています。

●西川:
しばはしさんの柔らかい物腰がよい緩衝材になって、お互いの強い主張が投げかけられたとしても、グローブのようにいったん受け止めて、勢いを緩和した上で、相手側に受け取りやすい言葉としてパスしてあげるという役割をしていることで、双方のよいコミュニケーションが図れるような橋渡しをしているんじゃないかと感じられます。
その上で、父母双方が、お子さんにとっての最善の利益を落ち着いて考えることが出来るんじゃないですかね。

●しばはし:
親同士の葛藤が下がれば、相手と関わりたくない気持ちがほぐれ、面会交流に対しても前向きになっていきます。
結果として子どもは両親から愛されて育つことができますので、その後押しをしています。

利用料金について

●西川:
立ち入ったことをお伺いしますが、利用料金について、この金額をお支払いしたとしてもサポートを受けたいという経済力のある方が対象になっているのだと思うのですが、サポートの対象者の半分はひとり親であり、ひとり親の相対的な貧困問題や、非課税世帯、生活保護世帯が増えているという現状では、もしサポートを利用したくても、それが叶わない方もいるのではないかと感じましたが、そのあたりはどうお考えでしょうか?

●しばはし:
料金設定については正直私も悩みました。
しかし、責任のあることですし、支援料に見合ったサポートをできていると思っています。
相談者からも満足度が高いという声もいただいていますし、ほとんどの相談者の方がリピーターです。

●西川:
また相談をしたいと思っていただけることこそが、なにより支援に対するご相談者からの高評価の表れですよね。
では、もしサポートを希望する、すべての人をサポートするにはどのような方法があると思いますか?

●しばはし:
離婚や夫婦関係についてお悩みを感じられた時に、まず初めに行政の無料相談窓口を利用される方も多いはずです。
私は、行政の相談員への情報提供や教育も積極的に行っており、昨年は大阪府にお招きいただき、研修をしたこともあります。
個別サポートの他、社会的に広くアプローチするためにも行政機関への働き掛けも進めていこうと考えています。

●西川:
なるほど、幅広い支援には、行政と連携を取っていかれるということですね。
さすが、先見の明があると感じました。

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【取材してきました vol.018】一般社団法人りむすび:第3回~今、気付きを得たいと思った方をサポートしたい~」に続く…

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<一般社団法人りむすび プロフィール>

代表・しばはし聡子さんが、ご自身の子連れ離婚経験を生かし、別居・離婚後の子育てや相手方との関わりで悩む方の手助けをしたいという思いから活動を開始した。
2016年4月、「せたがや離婚・面会交流相談室りむすび」設立。
2017年10月、「一般社団法人りむすび」設立。

■活動概要

  • 子連れ離婚に伴う夫婦問題・離婚後の子育てに関するご相談
  • 面会交流における仲介支援
  • 講演・執筆による共同養育普及活動(当事者・行政・支援員向けなど)

■理念「離婚しても子どもにとって親はふたり」

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【取材してきました vol.018】一般社団法人りむすび・しばはし聡子さん:第1回~面会交流に消極的な同居親の一人だった~

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投稿:   更新:2018/02/16

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