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    【取材してきました vol.022】日本家族再生センター:第3回~グルメナイトは癒しの時間~

    投稿:   更新:2018/04/21

    カテゴリー:京都府 京都市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

    グルメナイトのもうひとつの重要な役割と、その雰囲気をつくりだす味沢さんのパワーの原点についてお伺いしました。日本家族再生センターさんへの取材記事の最終回です。どうぞご覧ください。

    ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。

    ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。今回お話をお伺いしたのは、家族間の問題に関する支援活動を行っている京都府京都市の日本家族再生センター代表、味沢道明さんです。(この記事は、3回に分けて掲載いたします。)

    ←【第1回~大事なのは善悪ではない、お互いの違いを理解すること~】を読む
    ←【第2回~他に例を見ないDVシェルター~】を読む

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    活動内容について グルメナイトが持つ、もう一つの役割

    ●日本家族再生センター代表・味沢道明さん(以下、味沢):
    グルメナイト
    は、月に一回開催しているのですが、離婚した夫婦の子どもたちも参加できます。
    そうすると、同じ境遇の子どもたちが集まるわけですよ。
    他人と自分の親、大人たちが、DVやモラハラについて話し合っているのを聞いているわけです。
    家族間の問題が、この場ではタブーではない。
    学校や近所の大人たちが語らない、ふたをされているような話題をここでは話してくれるわけです。
    子どもたちにとっても、自分の境遇を客観視できる場であり、自分の話を聞いてケアをしてくれます。
    疑似家族、と言っているんですが、セラピーの中に家族機能を持たせるんです。
    元々の家族は機能不全で、子どもたちは傷ついています。
    わたしはそこではお母さんの役割をしています。
    問題が起こっている時に、夫とは一緒にいられない、実家にも頼れないという方たちが、ここにきて愚痴をいうことで、一晩ここに泊まってゆっくりすることでエンパワーメントされて帰っていきます。
    まさに実家の機能を持たせています。

    ●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
    男性の味沢さんが、お母さんの役割をされているというのは意外でした。
    離婚の子どもを研究している論文で、離婚家庭の子どもは自分たちも離婚をするだろうかという追跡調査があるのですが、関係がうまくいったカップルのモデルが身近にないので、規範的に「絶対に自分は離婚しない」、または「結婚しない」と両極端にふれている場合もあると聞いたことがあります。
    グルメナイトに参加して、様々な背景を持つ参加者が、お互いそれぞれの疑似家族の役割を演じることで、実際には持っていない家族役割を経験することができ、自己受容や自己肯定感を高めることが出来ますね。
    親が誰かと穏やかな関係性を創れていることを見るのが、子どもたちにとって何よりのセラピーになるのかもしれませんね。

    [PDF]離婚が子どもと家族に及ぼす影響について(東京大学学術機関リポート)

    ●味沢:
    そうそう。

    ●西川:
    DV加害者、被害者、子どもたちが一堂に会するということは、危険なのではないかと考えてしまいますが、此方に参加している方々では特段問題が起こったことはないのですね。
    血のつながっている家族関係だけではなく、社会の中で家族の役割があれば、子どもたちももっと生きやすくなると思いました。

    ●味沢:
    そのようなシステムを、金銭的な利益ありきで作ってしまいがちですが、本来は信頼関係の上で楽しみ、労り、心地よさを感じることが出来る場が理想です。
    援助当事者、という視点がないと金銭的な利益が優先されて、差別も無くなっていかないので、信頼関係をお互い持てる場を作ることが重要なんです。

    ●西川:
    本当にそうですね。
    グルメナイトは、開催日の19時から翌日の0時までという設定ですが、泊まり込みでの参加になるのでしょうか?

    ●味沢:
    時間設定をしていないので、早く帰る人もいれば、次の日の夕方までいる人もいます。

    ●西川:
    では、途中退出もOKという事なんですね。
    食事に関しては、集まった皆さんで料理をするのでしょうか?

    ●味沢:
    グルメナイトでは私が料理を作っています。
    皆さんはゲストで楽しく飲食をしておしゃべりをしてもらうだけです。

    ●西川:
    そういえば、ホームページに掲載されている書籍を拝見すると、味沢さんの著作の中に「料理もくらしもいい・かげん」という本がありますね。

    ●味沢:
    料理が昔から好きなんでね。
    30年前、エコロジーブームがあった時に、料理が必要だと感じて、今でもやっているんです。

    ●西川:
    グルメナイトでは、お母さんの役割を演じている味沢さんご自身のお料理が提供されているのですね。

    活動内容について お料理教室も支援のために

    ●味沢:
    グルメナイトの他に、メンズクッキングというイベントもやっているんです。
    ここでは、男性は料理をする人、女性は食べて楽しむ人。
    女性には手も口も出すなと言っています。
    男性側には料理で女性に喜んでもらうホスト役をするんですけど、男性が料理をするときに、とんちんかんな、豪快、グルメなどと能書きを垂れるような男は嫌われるので、皆を喜ばせることが大事だよ、というイベントです。

    ●西川:
    こちらも毎月開催されているようですね。女性のためのプログラムはありますか?

    ●味沢:
    メンズクッキングは、女性に対しては別の役割があります。
    女性はどうしても気を使って、男性の機嫌を取ろうと、手も口も出してしまいがちなので、男性がやっていることを笑って見ているというというトレーニングが必要なんですよ、という事なんです。
    男性がバタバタしているところを平気で見ていられる強さを持つという事、一般的な女性役割で自分を支えるな、という事です。
    男性に嫌われたとしてもいいよ、自由に生きていけるし、そんなあなたが素敵という人も出てくるかもしれませんよ、という感じです。

    活動の原点 味沢さんの成育歴

    ●西川:
    その雰囲気づくりには、味沢さんのお持ちの独特な明るさや包容力が大いに参加者を癒しているのじゃないかと、今日お話ししていて感じているのですが。

    ●味沢:
    それは大きいと思います。
    テキストだけで伝えられるものではないんですよ。

    ●西川:
    それは味沢さんが長年、多くの方のカウンセリングや支援に関わってこられたご経験によるものでしょうか?

    ●味沢:
    わたしの成育歴が大いに関係しているんです。
    LD、学習障害の診断がついていて、社会に適応できないところもありますが、そういうわたしを両親は何の問題視もせずに受け入れていたんです。
    ですから自分に問題があるんだと思わずに済んだわけです。
    学校や先生の教え方が良くないからできないのであって、自分がだめなんだとは思っていなかったんです。
    自己肯定感を与えてくれたのはでした。
    だから、社会から落ちこぼれている人にも、仕事ができないから死ぬしかないという人には「辛かったら仕事をしなくても、生活保護などの制度があるでしょ」というんです。
    仕事をしなさいと言われると辛いけど、しなくてもいいよというと、その人は死なないんです。
    社会に適応をしなくてもいいという認知があるセラピストは他にはいないでしょ。
    何のために生きているのか、自分で考えることが出来たら生きていけるし、妻に逃げられたとか、仕事がなくなったとか、辛いことがあったとしても、社会の枠組みから離れた生き方があるという事を伝えることが出来ます。
    私自身、LDやアルコール依存の時もあったし、世間でいうネガティブな体験が、今の活動に非常に役に立っていると思いますよ。
    「本当にダメだったら死んでもいいし、死ぬしかないよね」と、そういわれると死なない。

    ●西川:
    「死ねば」と言われても死なないのはどうしてでしょうか?

    ●味沢:
    死ぬしかない、と思っている自分という存在を受け入れていない。
    その時に、「死ぬしかないよな」と受け入れるということです。
    死ぬしかないと思った理由を聞いてくれよ、と話を聞いていくと、受け入れてもらった体験に満足をして、死ななくてよくなるんです。

    ●西川:
    誰にも理解されない絶望感から死ぬ、ということでしょうか。

    ●味沢:
    現実と理想の自分が違うのです。
    嘘の自分ではいたくないという事ですね。
    死にたい、という事はある意味、生きたいという事です。
    「いずれ皆死ぬのだから、今でも10年後でもいいじゃない。もう少し楽しいことをしてからでもいいよね」というと死を選ばなくなる。

    ●西川:
    なるほど、思いつめたときに、誰かに受容してもらえたということ、それが一番大事ですよね。

    活動内容について 年に一回の特別企画

    ●西川:
    日本家族再生センターさんの取り組みを整理すると、カウンセリングは、電話やSkypeでも対応していただけるんですね。
    グルメナイトは、月に一度京都で開催をされている。
    脱暴力グループワークは、京都の他、東京と大阪でも開催されている。
    その他のイベントとして、メンズクッキングシェルターの活動などをお伺いしてきました。
    ところで、今年お正月に開催があったという、合宿のようなイベントに、親子ネットさっぽろの佐々木さんが参加されたとのことでしたが、どれにあてはまりますか?

    ●味沢:
    あのイベントは、当事者のためというよりも、勉強するための講座という位置づけで開催しました。
    援助や心理とは何かという知識レベルのセッションでした。

    ●西川:
    そうなんですね。
    その学習会は、年に一度でしょうか?

    ●味沢:
    毎月のイベントは違いますので、年に一回です。
    キャンプセラピーも年に一度です。
    援助者を目指す人には、メンズカウンセリング講座を三か月に一回ペースで行っています。

    ●西川:
    女性支援団体は増えていますから、支援者の数も多いですが、男性支援という視点が抜けている場合が多いのではないかと感じました。
    実際に現場で支援に当たられている担当者に参加していただけると、双方的援助が得られるようになりますよね。
    すべてのDV加害者・被害者、離婚問題に揺れている男女、その家庭で育つ子ども、支援者、生きづらさを感じている人々にとって、必要な活動ですね。
    ぜひ、全国に日本家族再生センターさんの活動に触れていただける機会が増えてほしいと思いました。
    今回は、活動について、長時間お話を聞かせていただきましてありがとうございました。

    編集後記

    ひとり親支援の中で、は切り離せない問題です。

    知人のひとり親支援者は、DVから逃れるために支援をした母子の夫から、身の危険を感じるような圧力を受けたことがあるとおっしゃっていました。

    特段、怒りを伴う暴力的行為だけではなく、子どものしつけと称しての体罰も、現代ではDVとみなされるようになっています。
    親世代の育ちの背景も大きく影響しているはずですが、それを言い訳にできない状況と、次の世代に連鎖をしないために、今すぐに解決へ踏み出す時ではないでしょうか。

    今回は、DVシェルターを運営されながら心理的なアプローチを通じて、DV加害者・被害者双方に男女問わず支援をされている活動を知ることが出来ました。

    家族間の問題は、どちらか一方に偏ってしまうと、善悪を決定づけるための解決に頼ってしまう傾向にあると思います。
    修復的解決のためには、何が問題なのかを冷静に見つめなおし、お互いの最善を尽くすことを念頭に置いて行動することが必要です。
    そのためには、離婚をするということも一つの選択肢のようです。

    もし、地元の相談窓口や支援団体を利用しても、満足のいく解決に至らなかったとしたら、全国どこからでもカウンセリングを受けられる、日本家族再生センターへアクセスされてみてはいかがでしょうか?

    一見、危険が伴いそうな事例を手掛けておられながら、修復的な解決への支援を提供し続けられるのは、ありのままを受け入れる寛容な子育てをされたご両親のもとに育った、ご自身の特性を生かした活動をし続けておられる味沢さんならではなのかもしれません。

    そう考えると、やはり成育歴というのはその人の人生に大きな影響を及ぼし続けます。

    子どもたちの未来のためにも、もし夫婦関係に何か困難を抱えたときには、ぜひ利用していただきたいと感じました。(ウタリくらぶ記者・西川明子

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    <日本家族再生センター代表・味沢道明さんプロフィール>

    1954年広島県生まれ、自然派料理教室のかたわら、日本の男性運動をリード。
    男の悩みから、加害者の脱暴力支援を開始。現在は加害被害、性別、年齢にかかわりなく、DVやモラハラ等に関わる困難の渦中の当事者のためのさまざまなサポートを提供。

    【参考リンク】

    <日本家族再生センタープロフィール>

    DVやモラハラ等の暴力や不安、ひきこもりなど……さまざまな家族をめぐる問題に悩む人のため多様な援助を提供しています。
    性別・年齢・加害・被害を問わず、どなたでもカウンセリングやグループワーク、シェルターなどの援助をご利用いただけます。
    特に暴力や性の問題が絡む人間関係では、カウンセリングを基本に複合的な援助を提供し対立をさけ、離婚を含めた修復的対応をめざします。

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    投稿:   更新:2018/04/21

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