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    【取材してきました vol.022】日本家族再生センター:第2回~他に例を見ないDVシェルター~

    投稿:   更新:2018/04/05

    カテゴリー:京都府 京都市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

    他では問題の解決に至らずに日本家族再生センターさんを訪ねてくる場合もあるのだそうですが、ここでは一体何が違うのでしょうか?! ぜひご一読ください。

    ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。

    ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。今回お話をお伺いしたのは、家族間の問題に関する支援活動を行っている京都府京都市の日本家族再生センター代表、味沢道明さんです。(この記事は、3回に分けて掲載いたします。)

    ←【第1回~大事なのは善悪ではない、お互いの違いを理解すること~】を読む

    第3回~グルメナイトは癒しの時間~】を読む→

    ***

    活動内容について 他に例を見ないDVシェルター

    ●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
    各地で活動されているDVシェルターが、家族の修復的支援を担うことが出来るのでしょうか?

    ●日本家族再生センター代表・味沢道明さん(以下、味沢):
    うちでもDVシェルターをやっていますけど、よそとは全く違うんです。

    ●西川:
    どのように違うのでしょうか?

    ●味沢:
    そもそもDVとは何か、分かったうえでやっていますから女性側に「逃げなさい、逃げないと危険だ」とは言いません。
    そういうケースは多くはないんです。
    むしろ、DVが起こった時に、「男性が離れなさい。家を出て妻が落ち着くまでシェルターから出勤しなさい」と勧めます。
    ここでカウンセリングを受けたりして落ち着くことができますし、妻も夫がいないことで生活再建が出来ます。
    なかなか日本だとそれをやらないんですがね、妻を逃がすことがお金になる時代だから、残念なことだけどね。

    ●西川:
    母親側とお子さんが自宅にいてこれまでの環境を変えずに、問題の解決をしていくにはおっしゃるとおりに男性側にいったんシェルターに行ってもらうとリスクが少ないですね。
    そのほうが合理的なはずですが、何故一般的ではないのでしょうか?

    ●味沢:
    日本ではそういう仕組みづくりになっていないからです。
    センターのグループワークに参加する方は、DVシェルターを利用したことがあっても問題の解決に至らずにここを訪ねてくることがあります。
    シェルターを出た後の追跡調査を行っていないので、必ずしも楽になっていない場合もあるのです。

    ●西川:
    制度を利用したとしても問題解決に至らなかった方が、自力で探し求めて日本家族再生センターさんにたどり着いているのですね。
    児童相談所への通報をきっかけに、家を出て離婚に至ったご家族のお話を聞いたことがありますが、暴力のない環境へ逃れたとしても、それが必ずしも、幸せな解決策であったのではないのではないかと、その後の生活についてお伺いすると疑問に思ったこともありました。

    ●味沢:
    よくある話です。

    ●西川:
    親同士の関係が破たんするのは仕方がなくても、子どもの最善の利益を考えて安定した生活が保たれないのでしたら、お子さんたちの将来に負の遺産になるかもしれません。
    日本家族再生センターさんのグループワークやカウンセリングを利用することで、自宅では冷静に話し合いが出来なかった両親が、ここでは冷静に話し合っているのを初めて見たというお子さんもいるでしょうね。

    ●味沢:
    もちろんです。

    活動内容について 居酒屋風イベント、面会交流支援

    ●西川:
    京都では合宿のように泊まり込みで参加できるイベントを開催されているということですが、どのような内容なのでしょうか?

    ●味沢:
    日本再生センターのカウンセリングや、脱暴力グループワークをご利用いただいたことのある参加者のための、アドバンス的なセッションとして、「グルメナイト」という取り組みがあります。
    外部の方のご参加はお断りしているので、安心して居酒屋風に様々な立場の人たちが集まり、ざっくばらんに話し合うことが出来る場です。
    DV被害者、加害者が同じ場にいることは、世間から見たら危険だと言われていることですし禁止されているのですが、この取り組みは、お互いの見解を知ることが出来て非常に有効性があると思っています。

    ●西川:
    それぞれの立場の方が一緒にいることが禁止されているのですか?

    ●味沢:
    内閣府では、DV加害者は被害者に接近してはいけない、被害者の支援をしているところに加害者が行ってはいけないという指導をしています。

    [参考リンク]配偶者暴力防止法に関するQ&A保護命令(内閣府男女共同参画局)

    ●西川:
    その中でもあえてその取り組みを続けられているということですが、日本本家族再生センターさんが活動するにあたり、なにかトラブルが発生したことはありましたか?

    ●味沢:
    ないです。

    ●西川:
    内閣府の勧告としては、同じ家族内の当事者同士についての接近禁止だと思われますが、実際には同じ家庭の夫婦が参加することもあるのでしょうか?

    ●味沢:
    あります。
    面会交流を兼ねて、当会のワークショップなどを利用するご家族もいます。

    ●西川:
    第三者立ち合いの上での面会交流ということでしょうか?

    ●味沢:
    そうですね。ビジテーションという、面会交流サポートのサービスも行っています。
    個別に面会交流の場を設定する場合の他、ワークショップに、親も子どもも自由に参加できるようにしているので、参加していただくことで自動的に面会交流ができるのです。

    ●西川:
    なるほど、お子さんも参加ができるのですね。
    妻側がお子さんと暮らしている場合が多いですから、夫と子どもの面会交流を行う際に、妻がいない状態で数時間子どもと夫があっていた時に、残念な事件が起きたというニュースを聞くことがあります。
    託児事業者が面会交流の見守りサービスを行なう、面会交流の予定の設定からの双方の調整から関わる仲介サービスなど、面会交流に第三者が立ち会うシステムが出来始めていますが、活動を始められた頃と比べると状況は変化しているとお感じでしょうか?

    [ウタリくらぶ内リンク]【取材してきました vol.018】一般社団法人りむすび・しばはし聡子さん:第1回~面会交流に消極的な同居親の一人だった~

    ●味沢:
    基本的には枠組みが変わっていないのです。
    司法では、面会交流はしたほうがいいという方向で進んでいますが、そのための受け皿がないという事が課題です。
    様々な立場の方が非公式に動いているとは思うのですが、DVについてあまり理解をしていない状態での活動もあるので、リスクが伴う場合もあると思います。

    ●西川:
    サービスを提供している場によっては、何かが起きたときに対応が取れないということでしょうか?

    ●味沢:
    そもそもDV加害者として見ることが良くない。
    本当に加害者かどうかわからない場合もあります。

    ●西川:
    実際に、妻側が子どもの連れ去りをして所在がわからなくなり、第三者をはさんで話をしている中でいわれのないDV加害者の疑いをかけられ、接近禁止を含めて司法による措置が取られてしまうというという話も聞いたことがあります。
    先日も公務員の方が、国会でご自身の妻による子どもの連れ去りの経験を話している動画を見ました。
    その方は外国に子どもを連れ去られる恐れがあるため、ハーグ条約に抵触すると訴えていました。いわれのないDV加害者としての訴えを起こされたこともあったようです。
    反面、自分はDV加害者ではないと主張する当事者について、DVシェルターの職員の方にお伺いした事例では、話を聞くと「それはばっちりDVですから」という場合もあるようです。
    身体的な暴力だけがDVではないという認識が一般的には知られていないようです。

    [Youtube]Watanabe, Yasuyuki 4-19-2013 Judicial Affairs Committee in Diet
    [リンク]ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)(外務省)

    ●味沢:
    DV被害者も、ある意味、加害者なんですよ。
    日本にはDV加害・被害を正しく法に基づいてジャッジする機能がないし、全く法的根拠がない中で、加害者、被害者と認定されてしまうのがそもそも間違いです。
    身体的暴力だけを取ってみても、内閣府の発表では、3人に1人の女性が夫からの暴力を受けている、5人に1人の男性が妻から暴力を受けているという報告があります。
    でもそういった事実は表には出てこない。
    何が問題なのか、男性も女性もお互いを理解して対話をしながら問題解決をしていく必要があります。

    ●西川:
    センターを利用しての面会交流の場合、当事者を交えて話をしていく際に間に入ってファシリテートするんでしょうか?

    ●味沢:
    お互いの条件設定はしていきますけど、司法ですでにもめている場合はメンタルのサポートまでなかなか入れない。
    その前に、なにか問題が発生した時に、此方につながったケースに関しては、男性も女性もサポートをしていくので、離婚するにしても、面会交流をするにしても、お互いに納得をしながら進めていくことが出来ます。
    そうすると比較的に後がスムーズです。

    ●西川:
    味沢さんの専門的な見地と多くの事例に接しておられるというご経験の賜物ですね。
    現在、当事者の様子を見て適切なアドバイスをされているという事が一番問題解決に有効なのではないかと感じています。

    ●味沢:
    例を出してみると、「彼が怖いんです」という女性に対して。
    なぜ彼が怖いと感じるのかという彼の行動分析をして、「恐れなくていいんだよ。何かがあればこちらが彼の対応をするので、心配しなくていいよ」と伝えます。
    安全確保をしなさいというよりも、心配しないで任せてと言われた方が、気が楽ですよね。
    スムーズに話ができるとなると、状況は変わって行きますよ。

    ●西川:
    男性は理性、女性は感情で話をするという表現を聞いたことがあるのですが、わたしも夫婦間で冷静に話ができないのです。
    一番親しいはずの人とうまく会話ができないと、客観的に状況の判断ができないので、第三者がいる中で話をする場があれば、理性的な会話ができるではないかと思います。
    二人だけでは、すぐにけなし合い、ののしり合いになってしまう関係であれば、第三者が介入することで、冷静に頭を冷やしながら話をすることが出来て、問題解決へ進むことが出来そうですよね。

    ●味沢:
    司法はジャッジしますが、私はジャッジしない。
    あくまで中立的な立場で関わるという事です。
    何が問題なのかという事を心理的に分析しながら進めていくことが大事だと思いますね。

    ●西川:
    そうですね、当事者として特に必要な支援だと思いました。

    ***

    【取材してきました vol.022】日本家族再生センター:第3回~グルメナイトは癒しの時間~」に続く…

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    <日本家族再生センター代表・味沢道明さんプロフィール>

    1954年広島県生まれ、自然派料理教室のかたわら、日本の男性運動をリード。
    男の悩みから、加害者の脱暴力支援を開始。現在は加害被害、性別、年齢にかかわりなく、DVやモラハラ等に関わる困難の渦中の当事者のためのさまざまなサポートを提供。

    【参考リンク】

    <日本家族再生センタープロフィール>

    DVやモラハラ等の暴力や不安、ひきこもりなど……さまざまな家族をめぐる問題に悩む人のため多様な援助を提供しています。
    性別・年齢・加害・被害を問わず、どなたでもカウンセリングやグループワーク、シェルターなどの援助をご利用いただけます。
    特に暴力や性の問題が絡む人間関係では、カウンセリングを基本に複合的な援助を提供し対立をさけ、離婚を含めた修復的対応をめざします。

    【ウタリくらぶ内関連リンク】

    【取材してきました vol.022】日本家族再生センター:第1回~大事なのは善悪ではない、お互いの違いを理解すること~

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    【取材してきました vol.022】日本家族再生センター:第3回~グルメナイトは癒しの時間~」に続く…

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    投稿:   更新:2018/04/05

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