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    【取材してきました vol.022】日本家族再生センター:第1回~大事なのは善悪ではない、お互いの違いを理解すること~

    投稿:   更新:2018/04/04

    カテゴリー:京都府 京都市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

    日本家族再生センターさんの各イベントに参加する方は、どこに行っても納得が出来なかったという方が多いそうです。納得できて、集える場所とは……? どうぞご覧ください。

    ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。

    今回お話をお伺いしたのは、家族間の問題に関する支援活動を行っている京都府京都市の日本家族再生センター代表、味沢道明さんです。(この記事は3回にわたって連載します。)

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    第2回~他に例を見ないDVシェルター~】を読む →

    取材のきっかけ

    昨年、ウタリくらぶで取材をさせていただきました「親子ネットさっぽろ」佐々木泰子さんから、今年(2018年)のお正月に、京都で開催された家族関係に関する合宿型勉強会に参加されたことをお伺いしました。
    その主催団体は、DVの加害者・被害者、離婚家庭の夫・妻・子ども、支援者など様々な立場の方が一堂に会し、話し合いをすることのできる場を提供しているとのことでした。

    【取材してきました vol.010】コトオヤネットさっぽろ・親子ネットさっぽろ:第1回~子どもに会えない『もうひとりの親』の声~

    実は、同じく昨年「日本離婚の子ども協会」を取材させていただいた際に、「ウタリくらぶが主催して、シングルマザー、シングルファーザー、離婚家庭で育つ子どもの三者が一堂に会する座談会を開催してはどうか」というご要望をいただいたこともありました。

    【取材してきました vol.016】日本離婚の子ども協会:第1回~1年越しの取材、子どもの立場から~

    離婚家庭の母、または父、子どもに対する支援というのはバラバラに行われていて、面会交流など話し合いが必要な場面で、双方相いれない主張の場合もありますし、さらに離婚理由にDVの問題が絡む場合、当事者同士が同じ席に着くことすら危険が伴う場合もあると聞きます。

    ウタリくらぶではウェブサイトに、ひとり親に役立つ情報を掲載するのが主な活動ですが、その記事の内容によっては、記者である私に直接、支援団体や当事者からご要望、ご意見、ご批判などが寄せられることがあります。

    経済的困窮や不倫、DVといった離婚に至るまでの事実は、お聞きしたとしても、勇気をもって取材にご協力をいただいている取材先様の、今後の生活に影響が出ないように、あまりリアルに触れられないこともあるのですが、取材先様の希望で、事実をかなりソフトに書かせていただいたとしても、元配偶者の目に触れたときに、「抗議を受けた」とご連絡をいただいたこともありました。

    離婚に至るまでには、家族間の何らかの問題が発生し、それが夫婦関係の破たんへの発端となり、当事者同士が冷静に話し合いをすることができる場を作ることも難しい場合もあると同時に、ひとり親支援者にも、何らかの脅威にさらされる場合もあります。

    前置きが長くなりましたが、そのような難しい問題をはらむDV加害者・被害者、それぞれの立場の方が一堂に会する場をすでに設け、本部のある京都市のみならず、東京、大阪でも定期的に活動をされている団体へ、取材を申し入れたところ、京都と札幌をSkypeでつなぎ取材をさせていただくことが出来ました。

    日本家族再生センター代表・味沢道明さん プロフィール

    1954年広島県生まれ、自然派料理教室のかたわら、日本の男性運動をリード。
    男の悩みから、加害者の脱暴力支援を開始。
    現在は加害被害、性別、年齢にかかわりなく、DVやモラハラ等に関わる困難の渦中の当事者のためのさまざまなサポートを提供。(引用:日本家族再生センター カウンセラー紹介

    【参考リンク】

    日本家族再生センター プロフィール

    DVやモラハラ等の暴力や不安、ひきこもりなど……さまざまな家族をめぐる問題に悩む人のため多様な援助を提供しています。
    性別・年齢・加害・被害を問わず、どなたでもカウンセリングやグループワーク、シェルターなどの援助をご利用いただけます。
    特に暴力や性の問題が絡む人間関係では、カウンセリングを基本に複合的な援助を提供し対立をさけ、離婚を含めた修復的対応をめざします。(引用:日本家族再生センター

    住所:[MAP]〒607-8411 京都府京都市山科区御陵大津畑町38-3
    電話:075-583-6809

    日本家族再生センター立ち上げまでの活動

    ●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
    本日はご多忙中、Skypeでの取材にご協力いただきありがとうございます。
    「親子ネットさっぽろ」の佐々木さんが、今年のお正月に開催された学習会に参加されたというお話をお聞きして、ぜひ日本家族再生センターさんの取り組みについてお伺いしたいと思いました。
    どうぞよろしくお願いします。
    まずは、味沢さんが活動を始める経緯についてお聞かせいただけますか?

    ●日本家族再生センター代表・味沢道明さん(以下、味沢):
    わたしは日本においての男性運動を初めて起こしたメンバ―のひとりですが、男の生きづらさについて語り合う中で、それがフェミニストのいうジェンダーバイアスに関わることなので、男性側としてのメッセージを発信することから始めたのが出発点です。
    1995年ぐらいから具体的な支援として、電話相談、コミュニケーションクラス、男性のためのグループワークを行っていました。
    男性の為だけではなく、女性についての支援も併せて行う必要を感じ、2003年に「日本家族再生センター」を立ち上げ、男女、DV加害者・被害者を問わずどんな方でも支援をしていく形をとっています。

    [リンク]ジェンダーバイアス(はてなキーワード) ※ 社会的・文化的性差別、偏見のこと。
    [リンク]男性学(Wikipedia)

    活動場所について

    ●西川:
    今回、日本家族再生センターさんのイベントに参加された、「親子ネットさっぽろ」の佐々木さんが仰っていたのは、離婚後子どもと一緒に暮らしている親、子どもと一緒に暮らしていない親、DV加害者・被害者、男性・女性、子どもたち、とそれぞれ違う立場の方を交えて話ができる場他にはないという事です。
    一般的にはDV加害者は男性とされがちですが、一昨年、面会交流についての学習会に参加した際に、講演をされていた弁護士ご自身が、妻からのDVによる離婚を経験した当事者であるとお話されていました。
    近年、身体的暴力だけではなく、モラルハラスメントについても社会的認知が進み、男女問わず加害者にも被害者にもなりうるということで、双方に対する支援が必要とされていると感じていました。
    活動拠点については京都でしょうか?

    ●味沢:
    常時プログラムを提供しているのは、京都を中心に活動をしていますが、ワークショップは東京、大阪で月に1、2回開催しています。

    ●西川:
    では、京都、東京、大阪の三都市では、定期的に活動をされているのですね。

    参加するきっかけ それぞれの立場が一堂に会するグループワーク

    ●西川:
    参加している方たちは、日本家族再生センターさんのプログラムにつながる入り口としては、どこが多いでしょうか? 個別のカウンセリングでしょうか?

    ●味沢:
    脱暴力グループワークが多いですね。
    男性向け、女性向け、両者ミックスしたグループワークとそれぞれカラーがありますが、参加者はどこに行っても納得が出来なかったという方が来ることが多いんです。
    女性の場合は、女性センターに相談しても、DVシェルターを利用しても問題の解決に至らずに、いろいろと探しているうちにうちにたどり着く。
    男性の場合は、そもそも相談に行くところがないので、私のところにつながってくるという感じです。
    男女ミックスしたグループワークに参加するときに、「妻が言っていることに腹が立つ」けれども、他の女性が同じようなことを言っていたとしても、「妻ほどは腹が立たない」。
    そういう経験をすることで、妻だけの問題ではないという事が分かってきます。
    ですから、男性も女性も同じ場で自由に語れるという事にメリットがあるわけです。

    ●西川:
    いろんな情報や支援を受けた上でも問題が解決しないという事に関していうと、夫婦関係に問題を抱えたときに、相手が言うように「自分の考えがおかしいのではないか」と自分を責める時期がありますし、それでもどうも相手の主張に納得がいかないと、本などでDVなどについて調べるようになります。
    今度は「相手の方がおかしい」と攻撃する立場に変わるといったように、結局は和解に至ることがないのです。
    日本家族再生センターさんのグループワークのように、抱えている問題を客観視することが出来る場は貴重だと思います。
    実際には、関わっていく中で離別に至る夫婦もあると思うのですが、和解して夫婦でまたやりなおすという方もいらっしゃいましたか?

    ●味沢:
    修復的な支援、と言っているんですが、元の鞘に収まることではないんです。
    離婚も含めて、夫婦関係を修復しているんです。
    問題が何なのか理解する。
    相手が悪いから困っているという認識や、お互いコントロールして傷つけあっている問題は何か考えてもらう。
    自分の中に問題はないのか、考えてもらう。
    そこからスタートします。
    善悪を決めるのではなく、価値観や文化の違いにより話が通じていない問題という事が見えてきます。
    相手を責めるのではなくて、問題はお互いどうするか対応できれば解決していくんです。
    司法の場合はどっちが悪いのかを決めるので、問題解決ができない。
    十分話し合って、「離婚でいいよね」と決めたら、すごくいい離婚になる。
    周りからの勧めなどで、離婚直前までいっていたけど「本当は離婚したくないよね」「離婚よりも再統合したほうがいいよね」と、離婚を思いとどまったケースもありました。

    ●西川:
    ほぼ離婚が決まっているのに、話し合ってみて問題が何か分かれば、元の鞘に収まることもあるのですね。

    ●味沢:
    だから、元の鞘ではなくて、鞘を変えるとか、別の入れ物に入れなきゃいけません。
    お互いの夫婦役割、力関係、コミュニケーションの問題を、これまでと全く別のものにする再統合をしないと、結局どっちかが辛抱していることになり、また問題は再発します。

    ●西川:
    なるほど、新しい鞘に入れなくちゃならないんですね。
    そうですね、関係が良くない状態のところにまた戻っても意味がなくて、今からどうやり直すか、お互いのことが分かって問題が何だったのかを理解した上で再統合する。
    本来、問題解決とはそういうことなんでしょうけど、ほとんど知られていない、新しい方法ですね。

    ●味沢:
    他では全くありませんね。

    ●西川:
    同級生で離婚をした方にお話を聞いた時には、離婚した後に育児協力を初めて求めて、以前よりお子さんについて頼れる身内としての関係を築くことが出来た方もいました。
    離婚させないことだけが目的ではなく、離婚という修復的解決に至ることもありますよね。

    [ウタリくらぶ内リンク]【ひとり親事例紹介 vol.008】 陽子さん:第1回~離婚を真剣に考え始めたのはいつから?そのきっかけは……~

    ●味沢:
    いつも思うのですが、離婚する、しないは大した問題ではない。
    信頼関係をお互い作れるのが一番大事で、どっちがいいか悪いかを決めるためだけになってしまっていることが多いですね。

    弁護士は法律の専門家、心理や社会学については専門外

    ●西川:
    円満解決的な離婚と言えば、最近は弁護士を挟んで協議離婚をするADRという仕組みが出来たと聞きました。

    ●味沢:
    弁護士は法律に関する専門家であって、心理や社会学については素人の場合が多いのです。
    家族の問題についてどれだけ深く理解をしているかは疑問に思っています。
    DVの問題、子どもの発達などについてよくわかっているのかと。

    ●西川:
    担当の弁護士がかつて当事者であったとか、DVや発達、心理について学ばれている方であれば頼りになると思いますが、もし裁判や調停の延長のような取り組みなのであれば、問題解決の至り方が変わってくるのかもしれませんね。
    「面会交流学習会」に参加した時に、海外では離婚家庭についての研究が国の制度のプログラムとして取り入れられている国もあるとのことでしたが、日本にはまだないと聞きました。
    個人的な経験としても、区役所の弁護士相談やひとり親支援団体に相談に行くと、離婚や別居をすることを前提に、そのための方法を教えてくる場合もありました。
    当事者がもしかしたらよい方向に解決をしたいと思っていたとしても、逃げる、子どもを連れ去る、財産を差し押さえるといった法律を使った静かな暴力を相手にするような指南をしてくるわけです。
    日本家族再生センターさんのプログラムが、もっと多くの場所で出来たらいいなと思いました。

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    【取材してきました vol.022】日本家族再生センター:第2回~他に例を見ないDVシェルター~」に続く…

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