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    【取材してきました vol.014】えぞ父子ネット:第3回~シングルパパの家事・再婚事情~

    投稿:   更新:2017/12/06

    カテゴリー:北海道 札幌市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

    シングルパパが困ることのひとつ、行楽のお弁当。同じ境遇のパパさんを元気づけたいとつくった絵本。上田さんのあたたかい気持ちが伝わってくるインタビューです。ぜひご覧ください。

    ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。

    今回お話をお伺いしたのは、北海道で初めての父子家庭支援団体「えぞ父子ネット」代表の上田隆樹(うえだたかき)さんです。
    シングルパパの子育てとお仕事の両立について、ひとり親支援策と父子家庭についてなど、これまで存じ上げなかったたくさんのご苦労や、制度上の問題点などについてのご経験やご意見をいただきました。(この記事は3回にわたって連載します。)

    ※ 当日は、歯科衛生士復職支援プロジェクト代表のシングルマザー・加藤明美さんとご一緒にお話をお伺いしました。歯科衛生士復職支援プロジェクトについての特集記事も後日連載予定です。

    ←【第1回~父子家庭はカッコ書きだった~】を読む
    ←【第2回~パパにはママのようなネットワークが少ない、だから父子ネット~】を読む

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    シングルパパの家事について

    ●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
    上田さんは毎日手作りされている献立の画像をSNSに投稿されるぐらいお料理が得意のようですが、家事ではなにかご苦労されたことはありますか?

    ●えぞ父子ネット・上田隆樹さん(以下、上田):
    毎日3食の食事支度については、どこの家庭も悩んでいるだろうけど、一番困るのは、行事などでお弁当を持たせるときなんだよね。
    おかずのひとつとして「たまごやき」があれば、小さなお弁当箱なら半分ぐらいは埋まるよね。
    これが作れるか作れないかで結構違うんですよ。
    頑張っているお父さんたちを応援したくて、「おとうさんのたまごやき」という絵本を作ったんだ。
    これは多くの人に見てもらいたくて、児童会館や図書館に置いてもらえることを目標に活動しているし、「えぞ父子ネット」の活動資金にもなっています。

    [参考リンク]

    ●西川:
    この絵本の活動については、昨年の「ひとり親サポーター」の学習会の時にご紹介されていましたね。
    挿絵も絵本作家さんのかわいらしい絵で、とても素敵です。
    ぜひ多くの方にご覧になっていただきたいですね。
    お料理については、毎日上田さんの画像をみて、うちは家族の人数が多いので、質より量になりがちですし、いつも反省させられたり、励まされたりしています。
    シングルパパさんたちも、きっと上田さんを見習って食事支度など家事も頑張ろうと思っているんでしょうね。

    ●上田:
    私が発信していることで誰かの助けになったらいいなと思って活動しているよ。
    うちに相談のメールをくれるということは、結構崖っぷち状態になっている場合もあるからね。
    公的機関で父子家庭の相談窓口が最近できたのですが、気軽に相談できる窓口がまだまだ少ないです。
    子育て世代包括支援センターのように妊娠中からマンツーマンで対応できるようになれば、シングルパパも相談しやすくなるかもしれないね。

    [参考PDF]父子家庭専門相談窓口を開設しました/父子福祉資金制度が創設されました(札幌市)
    [参考PDF]子育て世代包括支援センター業務ガイドライン(厚生労働省)

    (上田さんの想いがつまっている・おとうさんのたまご焼き)

    世間はシングルパパに再婚を勧める?

    ●西川:
    テレビドラマなどでひとり親をテーマにしていると、関心を持って見ています。
    少し前のNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」は、お父さんが亡くなりお母さんが女手一つで娘たちを育て上げると同時に、お父さんの遺言で長女が就職や起業をして家族の生活を支える様が描かれていました。
    ヒロインの彼氏が大学卒業と同時にプロポーズしても家族を養わなくてはならないからと断るんです。
    その彼氏がのちに奥さんに先立たれ、お子さんが二人いるシングルパパとして再登場するんですね。
    彼の職場でも「早く再婚しろ」という上司のススメがあったりしました。
    ヒロインが子育てや家事を手伝うようになったりしたのですが、結局結ばれることなく彼氏が転勤していくという設定です。
    えぞ父子ネットさんに、再婚についての相談があったりするものでしょうか?

    ●上田:
    それが、これまで再婚の相談が1件も来ない。
    実際に会ったことのあるシングルパパとのおつきあいも10年間でゼロ。
    ネット上で交流のあるシングルパパでもゼロ。
    父子家庭の現状をテーマに講演させてもらうときに言うんだけど、頼りになる人が現れたら、内縁の夫みたいに付き合うのではなく、ちゃんと籍を入れましょうと。
    よく問題になっている、内縁の夫が子どもに対して虐待を与えるといった残虐なニュースがあるよね。
    責任を持つつもりなくて付き合っていると子どもに害を与えることもあるからね。
    離婚した理由もみんな違うけど、再婚となるとまた相手方の親や家族との関係が出てくるでしょ。
    そこが煩わしいんだと思うよ。
    また、相手方の親の介護を抱え込まなくちゃならない覚悟できるかどうかという話もある。
    あと、子どもが親の再婚を受け入れられるかどうかということも問題だしね。

    ●西川:
    確かに、思春期のお子さんが、お父さんに彼女が出来て家に出入りされるのが辛いという悩みを抱えている話も聞きました。

    ●上田:
    シングルパパの再婚率はすごい低いかもね。
    私の周りではほとんど聞かないんだ。

    ●西川:
    世間でのシングルパパのイメージと現状は違うものなんですね。

    もしもの時に備えて、遺言書を用意しておく

    ●歯科衛生士復職支援プロジェクト・加藤明美さん:
    上田さんは、もう遺言書を書かれているそうなんですよ。
    うちは来年でひとり親がおわっちゃいます。
    子どもが18歳になったら児童扶養手当は終わり、20歳になったら保険証もなくなります。
    子どもたちが独立して、もし日本にいないということがあったら、自分にもしものことがあったら誰が整理をするのか不安になりますよね。

    ●上田:
    娘のことを誰にお願いするかが一番だけど、お葬式のことや、土地建物などの資産について、預金口座について、ネット上のポイントや、SNSなどのIDやパスワード、アクセスの仕方について詳しく書いて、自分がいなくなったときに、適切に閉じてもらえるように全部書いて残してある。
    毎年更新しているよ。

    ●西川:
    遺言書を書こうと思われたきっかけはあったのでしょうか?

    ●上田:
    交通事故一発で両親がいなくなるということもあることに気が付いて、残された子どもがまず困るでしょ。
    いろいろと調べたら、毎年正月に遺言を書いている人がいることを知って、最低限必要だと思って自分でも作り始めたんだ。

    ●西川:
    子育て期は毎日仕事と家事に追われて日々があっという間に過ぎていきますけど、お子さんが将来困らないように、ご自分に何かあったときのことまで準備されているのですね。
    上田さんが実践されていることをSNSを通して発信されているのを見たり、困った時に相談をすることが出来たら、北海道のシングルパパさんたちも「ひとりじゃないんだ」「こういうときにはこうしたらいいんだな」と勇気づけられますよね。
    えぞ父子ネットさんの活動が、必要とされている方に届きますように。
    今日は、上田さん、加藤さん、貴重なお時間を割いていただきありがとうございました。

    編集後記

    今回、ウタリくらぶでは初めて、シングルパパさんへの取材をさせていただきました。

    ひとり親支援策が拡充されていく中、つい最近まで、母子家庭へ開かれている支援策が父子家庭が対象外になっており、当事者が声を上げて児童扶養手当の支給を実現したことは大きな一歩だったことでしょう。

    現在の父親世代は、性別役割分担が刷り込まれていた時代もあり、子育てや家事においては、慣れていない方も多いかもしれません。

    祖父母の支援が得られる環境であれば、今まで通り仕事を続けていける方も多いですが、実家が遠いなど、お父さんひとりで子育てを担わなくてはならない場合、職場の理解や地域の支えなど、一人で抱え込まずにシングルパパであることを「カミングアウト」して、困った時に助けてもらえる環境づくりも必要です。

    時に、転職や起業など、働き方を変えることを選択される必要に迫られる場合もあるでしょう。
    その時に、経験をもとに相談に乗ってくれる仲間を得ることがとても大切だと感じました。

    ひとり親になるきっかけは離婚の他、病気や災害、自死など突然の別れを経験するかもしれません。
    親になった時点で、いつかひとり親になるかもしれないリスクはだれしもあります。

    公的なひとり親支援策も充実してきていますが、当事者同士の助け合いもとても助けになります。

    ぜひ、困った時にはひとりで悩みを抱えず、お近くの支援団体にアクセスしてみてはいかがでしょうか。

    ウタリくらぶでは、全国各地の自治体の支援策の他、民間の活動についてもご紹介させていただいております。
    ぜひお役立ていただけましたら幸いです。(ウタリくらぶ記者・西川明子

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    <上田隆樹さんプロフィール>

    2007年4月に突然死別による父子家庭となる。現在、自営業(ネット物販・診療放射線技師・医療経営コンサルタント)をしながら、中学校3年生の娘さんと二人暮らしをしている。

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