ひとり親家庭のための、ウタリくらぶ

ウタリくらぶでは、ひとり親家庭に役立つ情報をお届けします。

【取材してきました vol.014】えぞ父子ネット:第2回~パパにはママのようなネットワークが少ない、だから父子ネット~

投稿:   更新:2017/11/30

カテゴリー:北海道 札幌市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

シングルパパならではの苦労、働き方やお仕事と育児の両立などについてお聞きしました。どうぞご覧ください。

ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。

今回お話をお伺いしたのは、北海道で初めての父子家庭支援団体「えぞ父子ネット」代表の上田隆樹(うえだたかき)さんです。
シングルパパの子育てとお仕事の両立について、ひとり親支援策と父子家庭についてなど、これまで存じ上げなかったたくさんのご苦労や、制度上の問題点などについてのご経験やご意見をいただきました。(この記事は3回にわたって連載します。)

※ 当日は、歯科衛生士復職支援プロジェクト代表のシングルマザー・加藤明美さんとご一緒にお話をお伺いしました。歯科衛生士復職支援プロジェクトについての特集記事も後日連載予定です。

←【第1回~父子家庭はカッコ書きだった~】を読む

第3回~シングルパパの家事・再婚事情~】を読む→

***

相談できる場として……

●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
北海道初のシングルパパ支援団体として「えぞ父子ネット」さんが発足した後は、どのような活動をされているのでしょうか?

●えぞ父子ネット・上田隆樹さん(以下、上田):
主に、パパたちからの相談に乗っているんだよね。
ママさんたちは、もともとママ友やPTAなどの地域の助け合いができるネットワークをもっているけど、パパはなかなかそういった仲間がいないんだよね。
それこそ、父子家庭になったといっても、何か困った時に相談できる場がない。
だからあえて、PTAの会合に飛び込んでいって、シングルパパであることを「カミングアウト」したら、地域のみんなからいろいろサポートを受けて助かったね。
小学校ではPTA会長もやったし、おやじの会も立ち上げた。
地域とのつながりの必要なシングルパパこそ、PTA会長をやるべきだと思ったし、私の次の会長もシングルパパがやってくれたよ。

●西川:
上田さんがPTA活動についても積極的にかかわっておられるのはそういうわけだったのですね。

預け先と働き方

●西川:
お仕事と育児との両立についてはいかがでしょうか?

●上田:
職場で日中の業務のあとに重要な会議が行われる場合もあるので、もし保育園のお迎えの関係で会議に出られないなど、会社の都合通りに働くことが出来ないと、仕事を任せてもらえなくなったりすることもあるし、結構大変なんだよ。

●西川:
ママさんたちですと、時短勤務やパートタイムでの働き方もありますが、お父さんがそのような働き方をしている事例はあまり聞いたことがないですよね。

●上田:
私は職場にシングルパパで実家の支援がなかなか得られないことを「カミングアウト」して、仕事をしていたね。
最初は、娘を幼稚園に通わせながら、幼稚園バスで保育園まで送ってもらい、夜8時ごろに迎えに行く生活だった。
保育園もね、自宅を改装して運営している民間保育園だったから、規則より遅くなっても預かってくれて、融通を聞いてくれたから、とても助かったんだよ。

●西川:
お子さんの預け先の問題は、働く親にとって最も重要な問題ですよね。
幼稚園や保育園に預ける他、子連れ出勤という働き方が注目されていて、私の関係先はママ起業の会社なのでいち早く取り入れていたんです。
札幌でも保育専門学校のパパさん先生が実践していたと新聞に取り上げられていました。
ただこれは、職場の環境やサービス内容にもよりますよね。
接客業や子どもには危険が伴う仕事の場合は難しいと思います。
上田さんは病院でのお仕事ですから、現場でお子さんが一緒にいることは難しいですよね。

[参考リンク]

●上田:
病院だと患者さんと一緒のところに子どもがいることが難しいけど、会議や事務的な作業なら検討の余地があると思う。
一般的な今の職場のシステムとして会社に出勤して作業をしなくてはならないから、子育てと仕事の両立に支障がでているんだけど、もし会議を夕方から行う必要があるのなら、今はSkypeとかネットを使うこともできるんだし、「それまでに飯食って準備しておけよ」ということもできるはずなんだよね。
これからは多様な働き方が認められる社会づくりも必要だと思うよ。
私は、病院勤務の他、起業して、様々な働き方を実践してきたことを発信して、誰かの参考になってもらえたらと思ってる。
このような仕事と子育ての両立に悩むシングルパパさんからの、「起業について」の相談が大半を占めるようになってますね。

●西川:
その点も、上田さんがすでに実践されているので、相談する方も心強いですよね。

企業側とひとり親をつないでいきたい

●上田:
収入を得るための仕事については、これまでの職場に勤務し続けながら職場の理解を得ることや、起業することもあるけど、シングルパパが働きやすい職場を求めることも選択肢の一つとして考えていてね。
シングルパパの採用に積極的だったり、働きやすい職場だという企業があれば、紹介していくことも今後考えているんだ。

●西川:
そうですね。
ひとり親を採用することで国からの助成金が出る制度もあると聞いています。
企業にとっても、良い人材を確保できるきっかけなのではないでしょうか。
職場の環境や理解はとても大切だと思います。
これは育児中のママとしても日々感じていることで、シングルマザーさんでお子さんの急病などで休みがちだと仕事が続けられなくて困ったなんて事例もよく聞きます。
逆に、こんなエピソードもあります。
わたしがパート勤務している会社の先輩が、お子さんの体調不良で欠勤されることもあるのですが、会社は先輩を辞めさせるどころか、サポートをするべくさらに人員を採用しているんですよ。
あるとき、保育園からお子さんのお熱でお迎えに来るようにと言われて連れ帰ってきた日、どうしても社外で用事を足す仕事があったようで、会社でみんながお子さんを見守っていたなんてこともありました。
最近、女性管理職がシングルマザーであることも知りました。
意外と入ってしまえば、社員でもパートでも、比較的おおらかに協力ができる職場ってあるんだなと思いました。
それも、労働者側も家庭の事情などを勤務先に理解してもらっていること、その上で採用してくれる企業であれば安心して働けると感じています。
私も今は複数社掛け持ちでパート勤務と個人事業をしていますけど、各社すべて働き方に融通が利くよい職場ばかりです。

[参考PDF]厚生労働省 事業主の皆様へ・ひとり親の就業をご支援ください
[参考リンク]厚生労働省 母子家庭の母、父子家庭の父の雇用

●上田:
企業側で国のこのような制度があることを知らないかもしれないし、企業側とひとり親をつなぐようなことが出来たらいいよね。
そのうちの一つとして医療国家資格を持つ人材の再就職支援を考えて、歯科衛生士の加藤さんと協力して活動をしているんだ。
歯科衛生士復帰支援プロジェクトについては、歯科衛生士が現場では足りないのに、離職率が高く、再就職しにくいことから、年一回の歯科医師会で開催する復職支援イベント以外にも、支援の場が必要ではないかと、勉強会や実際に人材を必要としている歯科医院を紹介することもしています。

●歯科衛生士復職支援プロジェクト・加藤明美さん(以下、加藤):
わたしのところに、昨日も歯科医師から連絡があって「誰かいませんか?」と言われました。

●西川:
札幌市も高等職業訓練促進給付金事業の対象として、歯科衛生士が含まれていますね。

[参考リンク]さっぽろ子育て情報サイト高等職業訓練促進給付金事業(ひとり親家庭自立支援給付金事業)

●上田:
それは新しく国家資格を取りたい人の為の制度だよね。
有資格者のための、再就職のための情報って意外と少ないから、既存の支援イベントだと限られた開催時に都合が合わなければ、機会を逸してしまう。
いつでも情報が手に入るような仕組みづくりを考えているところです。

●西川:
詳細が決まりましたら、加藤さん、ぜひ再取材をさせて下さい。

●加藤:
わたしはもうすぐ子どもが独立する年齢なのでシングルマザーをそろそろ卒業しますけど、これまで歯科衛生士として一番忙しい時間の夕方からの勤務もこなしてきました。
子どもの小さい時と大きくなった時で働き方を変化させることもできます。
また歯科衛生士ならではのチェックポイントもありますので、ぜひ当事者として再就職を目指す、潜在歯科衛生士さんの力になりたいと考えています。

***

【取材してきました vol.014】えぞ父子ネット:第3回~シングルパパの家事・再婚事情~」に続く…

ウタリくらぶの取材記事一覧へ

<上田隆樹さんプロフィール>

2007年4月に突然死別による父子家庭となる。現在、自営業(ネット物販・診療放射線技師・医療経営コンサルタント)をしながら、中学校3年生の娘さんと二人暮らしをしている。

【関連リンク】

【ウタリくらぶ内関連リンク】

【取材してきました vol.014】えぞ父子ネット:第1回~父子家庭はカッコ書きだった~

***

【取材してきました vol.014】えぞ父子ネット:第3回~シングルパパの家事・再婚事情~」に続く…

ウタリくらぶの取材記事一覧へ

投稿:   更新:2017/11/30

カテゴリー:北海道 札幌市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

ウタリくらぶに記事掲載をご希望の方は、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。

その他、制度改正等に伴い掲載された内容が最新のものと異なる場合などお気づきの点がございましたら、お手数ですが同様にお問い合わせフォームよりご指摘頂けますと幸いです。

ひとり親家庭の方々に役立つ情報発信に、皆様のご協力をお願いします。