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【取材してきました vol.010】コトオヤネットさっぽろ・親子ネットさっぽろ:第2回~離婚後の子育てについての社会的コンセンサス、その課題~

投稿:   更新:2017/08/05

カテゴリー:北海道 札幌市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

海外では離婚をする親のためのプログラムがあります。それってどういうこと?日本の現状は? 『もうひとりの親』の取材記事、どうぞご覧ください。

ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方について、支援者においては活動内容について生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。
ウタリくらぶ記者・西川明子です。

これまで、主に「ひとり親当事者」または「ひとり親支援」に関わるサービスについて、ご紹介をしてきました。
今回、お話をお伺いしたのは、『もうひとりの親』の当事者がつくる支援団体です。
コトオヤネットさっぽろ」のカタラン菊之進さん親子ネットさっぽろ」の佐々木泰子さんにお話をお伺いしました。

離婚をした両親のうち、子どもと一緒に暮らしている「ひとり親」のイメージが強いですが、子どもと一緒に暮らしていない『もうひとりの親』が存在します。
その中でも、自由に子どもに会うことができなくなった『子どもと引き離された親』『親と引き離された子どもたち』がいることを知りました。
離婚をしたとはいえ、子どもたちの実の親なのに、どうして「引き離される」ことになってしまうのでしょうか?(この記事は、6回に分けて掲載いたします。)

←【第1回~子どもに会えない『もうひとりの親』の声~】を読む

第3回~先に連れ去った方が勝ちになってしまっているシステム~】を読む→

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離婚する親のためのプログラム

●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
たしか、学習会の際にお聞きしたのですが、アメリカでは離婚をする夫婦のためと、離婚家庭のお子さんのためのプログラムがあるのでしょうか?

●コトオヤネットさっぽろ・カタラン菊之進さん(以下、カタラン):
アメリカではほとんどの州で、離婚をする親のためのプログラムがあります。

●親子ネットさっぽろ・佐々木泰子さん(以下、佐々木):
アメリカでは制度が整っていて、離婚するのであれば離婚の為の支援プログラムを受けることや、制度を活用することが出来るのですが、日本には同様のプログラムがほとんど導入されていません。

●カタラン:
兵庫県明石市では、唯一、任意なんですがプログラムがあります。
アメリカでは、親教育プログラムといって、例えば、相手の親の悪口を言ってはいけないとか、面会の日にちはきちんと守るようにということをがっちり、権利義務としてやっているんです。

[リンク]兵庫県明石市・離婚後のこども養育支援~養育費や面会交流について~

●佐々木:
心理の先生がやっている、離婚の家族を支えましょうというプログラムは、東京でしかやっていませんし、講師も東京でしか派遣できませんということだったので、学びたければ、東京に行かざるを得ませんでした。只、最近、コンタクトを取っていたら、北海道でもお話を聞く機会が持てそうです。

[リンク]離婚と親子の相談室らぽ~る・親教育プログラム

海外では、離婚後の子育てについてシステムの中に組み込まれている

●カタラン:
アメリカに比べると日本ではひょっとしたら、50年ぐらいの遅れがあるかもしれません。
親についてもそうだし、子どもに対するプログラムもあります。
日本の場合は、養育費の徴収はがっちり給料から差し引くところまでやるようになりましたが、面会交流についてはそういった制度はありません。
アメリカでは共同養育プランを裁判所に提出します。
例えば年間100日とか、週末はこちらのお家に行くとか、細かなことを義務として、権利として、お互いが提出して合意をして初めて離婚が認められるんです。
決められたことを守らないと罰金がかかります。
日本の場合は、離婚後の子育てについては全く抜け落ちていて、本人同士が合意したら離婚できるのです。
また、ニュージーランドでは、子どもにも弁護士が付くそうです。
そして子どもの弁護士がキーパーソンになって調停が進んでいくらしいのでびっくりしましたね。

●西川:
学習会の時にも、国際結婚をされていた方から裁判についての経験談をお話しいただきましたよね。
面会するときに、これしか食べさせてはいけないといったかなり細かいことまで決まっているとあって、衝撃を受けました。

●佐々木:
日本で裁判にかけるお金は高くても何百万円ぐらいで済むのですが、彼女の場合は桁が違うんです。
1,000万円以上かけ、実家からの援助もこれ以上出せないぐらいまでかけたそうです。
でも、日本の一般家庭がそこまで費用をかけることはできませんよね?

●西川:
一部の資産家の家庭でしか現実的ではないですよね。
離婚原因は経済的な貧困やDVが原因の場合もありますので。

●佐々木:
法テラスの制度を活用すれば、弁護士と契約することができるのに、それすら活用されていないというのが日本の現状です。
海外の場合、かかる費用の桁が違うという意味では大変なのですが権利がしっかり守られているという部分でもあります。

●カタラン:
システムとしてそうなっているんですよ。

離婚前と後と、同じ環境を子どもに保障する責任がある

●佐々木:
その他、海外では、面会交流中の過ごし方について、事細かく合意の上で決めていきます。
先ほど話題に出た、何を食べてもいいとか、例えば合成着色料が入っている食べ物はだめだとか、宗教上の価値観の違いによるお互いの合意も必要になります。

●カタラン:
子どもと暮らしている親が「ひどい父親だった」とか、いろんなことを言って何とか子どもと合わせないようにしようとする場合もあります。
僕のケースではそうでしたけど、本当に一切の交流を遮断するとか、贈り物を送り返してくる、手紙も子どもに渡さないとか、同居親の自由自在なんです。
アメリカやヨーロッパの国々はそういったことはしてはいけない社会的なコンセンサスができています。

●西川:
離婚した家庭で育つ子どもへの支援が、アメリカから50年遅れていると聞き、以前取材をした依存症の支援団体も精神医療治療において日本は50年遅れているとお伺いしたことを思い出しました。
この場合、子どもたちにとって何が最善なのかを考えて、社会的な制度も整えてほしいですよね。
一緒に暮らしている親の都合で、もうひとりの親と合うことが出来なくなった子どもは、もしかしたら「捨てられたのだ」と勘違いしてしまうかもしれません。
先日も、面会交流の時に、お父さんが子どもと心中をしてしまった事件がありました。
もし面会交流の時に、間に入ってくれる保育士さんですとか第三者がいたならば、最悪な事態は避けることが出来たのかもしれないと思うととても残念ですよね。

●カタラン:
できるだけ、離婚する前と同じ環境を子どもに保障する責任があるし、必要なわけですよね。
やはり片親のもとで育っていても、両方の親に自由に会えていた環境が、子どもの最善の利益につながると思います。

●西川:
北海道はひとり親家庭が比較的多いので、お互いの家を行き来することを自由にできているお子さんもいらっしゃいますよね。

●カタラン:
普通に行き来している子どもは、同居している親がそう望んでいるからです。
できるだけ公的権力の家裁などが介入しないでうまくいくのが理想だと思うんですが、もともとお互いの話し合いが難しい中で、調停や裁判を利用したという経緯もあるでしょうから、子どもたちに両方の親に会う権利をどのように保障していくのか、社会的な課題です。

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コトオヤネットさっぽろプロフィール>

離婚後の共同子育て社会の実現を目指して活動している当事者の市民団体です。
連絡先…電話 :011-863-1377

親子ネットさっぽろプロフィール>

2016年6月より「親子ネット」より支部認定を受け、札幌市を主に北海道内で活動を開始。
地方自治体への陳情活動の他、勉強会の開催、別居・離婚に伴う子供と会えない親の支援(情報提供、相談、ピアカウンセリング等)を行っている。

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