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【ひとり親事例紹介 vol.015】 本多真弓さん:第4回~プライドは娘のために捨てようとおもった~

投稿:   更新:2018/03/12

カテゴリー:北海道 札幌市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

今でこそエステサロンのオーナーとして輝いていらっしゃいますが、最初から順調にいっていたわけではありませんでした。ご自身で覚悟してここまでやってこられ、ステップバイステップでしっかりと歩んでこられた本多さんへの取材記事の最終回です。

ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。

今回は、北海道札幌市在住のシングルマザー、POLAエステサロンPeco×RYオーナー・本多真弓さんに、お話をお伺いしました。(この記事は、4回に分けて掲載いたします。)

←【第1回~未婚の母という選択、難病との闘い~】を読む
←【第2回~病気になってから後悔しない選択をするようになった~】を読む
←【第3回~車いすの方でもお仕事ができる環境をつくりたい~】を読む

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ひとり親として経済的に苦しい経験から自立するまで

●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
本多さんは、お子さんの本当にやりたいという理由と覚悟があれば、全力で応援してあげたい、と思っていらっしゃいますよね。
実際、ひとり親家庭の相対的な貧困が問題になっていて、そのため、子どもたちに満足な教育が受けさせてあげられないという現実も聞くことがあります。
お受験について、そのあたりはご心配されなかったでしょうか?

●POLA THE BEAUTY エステサロンPeco×RYオーナー・本多真弓さん(以下、本多):
金銭面のことは、今度はわたしが覚悟を決めて何とかしようと思いました。

●西川:
そうだったんですね。
本多さんのように、お子さんの本当にやりたいことは応援してくれるんだ、という娘さんからの確固とした期待にお応えできることは素晴らしいですよね。
何かをやりたいというときに、きちんと理由を聞いてそのためにちゃんと努力することもお子さんも覚悟が決まる。
こういってはなんですが、『なんでも好きなことをしなさい』という言い方は、一見、子どものことをなんでも応援してくれているように見えますが、お金をそこに置いておいて好きに使いなさいと放任しているだけと同じかもしれません。
娘さんは、数々の困難を乗り越えながら、仕事や子育てを両立されてこられたというがんばりやさんの、母の背中を見て育ってきたのかもしれませんね。

●本多:
娘が、そう思ってくれるといいなと思いますね。
入院の時も寂しい思いをさせますし、単純に『えらいね、すごいね』だけでは済まないことを背負いながら生きている子です。
弱い部分もまだありますけど、今回覚悟が固まったらちゃんと行動を起こすんだなって、その理由を含めて、とてもうれしかったですね。

シングルマザーであることが、どん底だったり地獄だったりするわけではない

●西川:
本多さんが、ひとり親で子育てをしているという状況に加えて、持病にも負けずに、お仕事で経済的に自立してこられたということは、娘さんだけではなく、多くの方の励みになると思います。
私はもう、子どもの教育に関しては、ひとり親だからという一般論ではなく、個別の努力や覚悟も大いに関係があると思っています。
実は、わたしの中学の同級生で、ものすごく教育ママで有名な家庭の子がいました。
それこそ、平均点がものすごく低いような難しいテストで、トップの成績だったとしても、100点満点でないなら『お母さんに叱られる』と泣いてしまうというぐらいだったそうです。
実はそのお母さんはひとり親でした。
それでも、地元では最も費用が高い塾の超特進クラスにその子を通わせて、本州の大学に進学し、今ではキャリア官僚になっていると聞きます。
ずいぶん昔の話なので、詳しい状況はわからないのですが、よく言われるひとり親家庭の貧困による子どもたちの教育への不十分さからくる貧困の連鎖、という論調は、それぞれの努力によって克服できるのではないかと常々思っています。
私は両親そろった家庭で育ちましたが、親の経済的な事情で進路を狭められたり、あきらめさせられたりしてきました。
その時は、応援してもらえる環境もなかったし、自分の力を信じることもできませんでした。
ですから、どんな家庭環境だったか、経済状況だったかということにある程度制約はあったとしても、人の心というものは、なにか目標があれば、そしてそれを全力で応援してくれる家族が一人でもいたら、あらゆる困難も乗り越えていく希望の持てるものだと信じています。

●本多:
そうですね。
シングルマザーであることが、どん底だったり地獄だったりするわけではないので。
DVで大変な思いをしている方や、孤独だと思っている方もいらっしゃいますけど、『ひとり親は貧困になりがち、どうしようもないよね』と終わってしまうか、そうではいけないと奮起できるかは、自分次第です。
私の中では周りに流されないようにすごく踏ん張っていた時期もありました。
実は、わたしも病気になりたてだった時には、一時期、生活保護を受給したこともありました。
生活保護受給者と言えば、税金の中で生活をさせてもらっているのに、お金が入ったら遊びに行くという人もいると、一部の人でしょうが悪いうわさを聞いたことがあります。
わたしは、生活保護をもらったときに、誤解を恐れずに言えば『負けた感じがした』んです。
でも、娘を食べさせていかなくてはいけないので、やむをえず受給しました。
でもいつまでもそれでは情けないと思いました。

●西川:
本多さんは持病により働くことが困難という、どうしても必要な状況だったので、必要な支援を上手に活用されていたんだと思いますよ。
今では、様々なお仕事を経て、天職ともいえるビューティーディレクターのオーナーとして経済的に自立していらっしゃいます。
反面、生活保護などの支援の枠からはみ出さないように過ごしている方もいるということも聞きますよね。

●本多:
いろんな事情を抱えている方がいますし、国である程度基準も設けています。
必要な方には届くといい支援だと思いますが、ずるい人が得をする世の中であってほしくはありません。
わたしは、持病とうまく付き合いながら、経済的に自立をすることを実践することが出来ました。
そういう方法もあるんだ、ということも知っていただきたいですね。

●西川:
そうですね、逆に支援の手が差し伸べられているのに、そこに届かなかったり、潔く必要な時に手当を受給せずいたりして、最悪の事態になってしまう方もいます。
苦しい時に助けてもらえるのが国の支援です。

●本多:
その時は、プライドは娘のために捨てようと思いました。
ここでちゃんと準備をさせてもらって自立するんだと、段階を踏んできました。
当時は、自分なりにすごく調べました。
車いすでもできる仕事はないか、飲食店でバリアフリーのお店が出来ないかなど。

●西川:
そうして、いまのお仕事に出会った。
そして、これからは念願の、車いすでも働ける職場をご自身で作ろうとされているんですよね。

●本多:
はい。審査はこれからですが、実現させたいと思っています。
私がいま求めているのは、ひとり親で仕事する上で色々壁がある方でも進んでいける素晴らしい仕事なので、是非興味がある方は、本多に連絡をいただきたいということです。
お仕事に踏み出せずにいる方に、さらに直接お話できたらと考えています。

●西川:
本多さんならきっとやり遂げてくださると思います。
ぜひ、興味のある方は、本多さんまでご連絡してみてくださいね。
お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

編集後記

今回は、ひとり親当事者であり、さらに難病との厳しい闘病生活をしながらの経済的自立を果たされた事例をご紹介しました。

また、元パートナーの消息が分からないので、完全に経済的にも子育てにおいても、ご家族、地域の力を借りてではありますが、ひとりでその責任を担ってきたのです、

一見、経済的に自立することに成功した女性起業家のサクセスストーリーにも見えますが、最後にお話しいただいたように、国からの支援策を利用しながらも段階を踏んで、準備をされてこられた経験もお持ちでした。子育てに困難な時期も、持ち前の前向きな姿勢で乗り越えてこられていました。

本多さんのすごいところは『一般的な、ひとり親だからという先入観に負けない』という覚悟だと思います。

ひとり親を取り巻く様々な問題がありますが、ひとりひとりの努力によって、それに打ち勝つことが可能であるということに気づかされました。

また、男性的と女性的の両方の役割を兼ね備えた柔軟な視点で、ご家庭でも職場でも、問題解決に当たられていることが、成功の秘訣だと思いました。

取材当日、サロンに到着した時に、『今日はとってもかわいい服装ね!』と私を褒めるところから始まりました。
お客様と褒め合うことを日課にしているというポジティブな姿勢と、明るい太陽のような笑顔とキャラクターが、老若男女、あらゆる世代のお客様の心をつかんで離さないのです。

本多さんがおっしゃっていたように『シングルがどん底でも地獄でもない』のです。

命を維持するために必要な支援は国や地域が用意しています。
また、経済的に自立するための様々な方法があります。
ぜひ、情報を得て、一歩踏み出していただきたいと思います。

それは、ひとり親当事者だけではなく、その家庭で育つお子さんのためでもあるのです。(ウタリくらぶ記者・西川明子

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<本多真弓さんプロフィール>

北海道札幌市在住、小学校6年生の長女、両親、祖父の四世代と暮らす未婚の母。
POLAザビューティー札幌アスティ45店、エステサロン Peco×RYショップオーナー。
産後一年以内の26歳のときに、難病『多発性硬化症』と診断され、入退院を繰り返しながら病と闘い、一時は車いすの生活になりながらも、バーテンダー、カフェ店員、事務員などを経て、『リハビリ』と経済的自立の両立が可能なエステサロンの世界に飛び込む。
JR札幌駅前という好立地のビル内、地元のJR手稲駅前のスーパーが入る商業施設など、四店舗を経営する。

【参考リンク】

【ウタリくらぶ内関連リンク】

【ひとり親事例紹介 vol.015】 本多真弓さん:第1回~未婚の母という選択、難病との闘い~
【ひとり親事例紹介 vol.015】 本多真弓さん:第2回~病気になってから後悔しない選択をするようになった~
【ひとり親事例紹介 vol.015】 本多真弓さん:第3回~車いすの方でもお仕事ができる環境をつくりたい~

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投稿:   更新:2018/03/12

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