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【ひとり親事例紹介 vol.014】龍滝知佳さん:第3回~出会いは人生の宝~

投稿:   更新:2018/03/02

カテゴリー:北海道 札幌市 離婚・別居 地域別情報 特集記事

社会的に意義のある活動をされてきて、その地道な実績を買われて引く手あまた。また、出会いは宝……その言葉通りにご縁を大切にしてきたからこそでもあります。そんな龍滝さんのお話をお伺いしました。どうぞご覧ください。

ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方についての生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。

今回は、北海道札幌市在住のシングルマザー、マザーズスキルサポート代表・龍滝知佳さんに、お話をお伺いしました。(この記事は、3回に分けて掲載いたします。)

←【第1回~小樽市で子育てしながら子育て支援活動。考えられることはやりつくした~】を読む
←【第2回~支援活動をしてきた中での葛藤、そして引っ越しと離婚~】を読む

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生活のための仕事と、子育て支援活動

●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
ひとり親になるまでの、お辛い話をお伺いしました。
お子さんたちが元気そうにしているのが何より救いですね。
今は、子育てについてサポートしてくれる方はいるのでしょうか。

●マザーズスキルサポート代表・龍滝知佳さん(以下、龍滝):
その後、父も亡くなったので、両親がいませんから、特に子育てをサポートしてくれる者はいません。
妹と同居しているので、何かあった時に子どもの面倒を見てもらえる事はありますが。

●西川:
では、子育てをひとりで担いながら、お仕事もフルタイムでされているのですね。
今の職場はいつからお勤めでしたか?

●龍滝:
2016年5月からなので、割と最近です。
その前までは、1年間カフェを運営していました。
経済的に余裕はなかったんだけど、父もまだ生きていたし、今やめたら後悔すると思って、人生の夏休みと思って続けていました。
カフェを閉めたとたん、父が亡くなって、何か仕事をと考えたときに、ハローワークのPCスキルを身に着ける講座に通いました。

●西川:
その後に今の会社へ?

●龍滝:
最初は会社の別の部署を希望して応募したんですが、私の職務経歴が、ツアコン、イベントプランニング、カフェ運営だったので、実績を買われて、社員向けトレーナーとして採用されることになりました。

●西川:
それは大抜擢ですね。

●龍滝:
今の職場は、女性が働きやすい、ひとり親にも優しい環境でとても気に入っているのですが、正直、契約社員という立場でのお給料が、生活していくには厳しいという現実があります。

●西川:
龍滝さんのようにバイタリティのある女性が働いていく中で、もっと能力が高く評価されて収入にも直結するといいなと思いますが、札幌の賃金事情はなかなか思うようにいきませんよね。
わたしは、パートを何社かかけもちしていますが、そのうちの1社が最低賃金を下回っていました。
こちらが指摘したら慌てて改正していましたけどね。

出会いは人生の宝

●龍滝:
適性検査では、営業が向いていると必ず出るので、そういった職種にもチャレンジしてみたい、という気持ちもあります。

●西川:
企業側は人手不足で、特に営業ができる人材を求めていますから、きっといいマッチングができるといいですね。
わたしの勤務先も常に求人を出しています。
もっと収入アップが期待できるのではないでしょうか?

●龍滝:
実は稼ぐのが苦手なんですよね。
例えば、自分の活動、マザーズスキルサポートも、もし収入を得るための仕事にしようとしたら、可能ではあるんだけど、どうもそうするのが好きじゃない。
今日のイベントの『ハイハイレース』も無料開催だし、お金が欲しくてやっているわけじゃないんです。
だから、無理なく一生やっていくために、他にお金を稼ぐ手段が必要なのです。

●西川:
食べていくためのライスワークと、やりがいのためのライフワークの違いですね。

●龍滝:
会社にフルタイムで勤め出してからの方が、いろんな企業様のイベントの依頼がいっぱい来ているんです。
それはこれまでの実績が、認められているからこそ、なんですよ。
今年も、大きなイベントを控えているんです。

●西川:
札幌にはほかにも子育て支援活動をしている人や、会社がたくさんあるにもかかわらず、時間のない龍滝さんにわざわざ依頼をするということは、龍滝さんだからやってほしいという依頼者側の意向ですよね。

●龍滝:
長く活動をしていると、たとえば『こういうスキルを持っているママさんがいますよ、メニューがたくさんありますよ』とクライアントに提案ができるという手ごまの多さは、地道に活動を続けてきて、つながっているからこそなんです。
大きなイベントも、聞けばだれでも知っているような企業様からのご依頼です。

●西川:
それはすごいですね。

●龍滝:
有難いです。
私は出会いは人生の宝ということがモットーなんです。
子育ては楽に楽しく、とか。
活動は、その集大成だから。

●西川:
マザーズスキルサポートさんの活動は、講師養成事業やお教室運営、イベントプランニングなど多岐にわたりますから、もしご商売にしようと思ったらできそうではありますが、そこをあえてやらずに、ご縁のある活動でつないでいくというところが、龍滝さんが多くのママさんたちや、企業さんなどのクライアントに慕われているところですよね。
たまに、活動を始めたばっかりの『にわか・女性起業家』みたいなママさんたちは、いきなりがしがし稼ぎにかかろうとして、周囲から引かれてしまっていて、痛いなあと思う時があります。
地道に実績を積み、ご自身のスキルと人間関係を積んできてこそ、この活動の深みが出るのではないかと思っています。

●龍滝:
今は、稼ぐことのほかに、投資していますよ。
あとは国のひとり親支援策などにお世話になっていますね。

●西川:
なるほど、きちんとお金の管理をしながら、上手に支援策も利用されている。

●龍滝:
今はフルタイムで働いていて、子育て支援活動は以前よりは時間がさけなくなっているから、セミリタイア、なんて言っているんだけど、去年はそれでも企業から4件、イベントの依頼がありました。
自分でガンガンやっている人でも、なかなかそういったチャンスには恵まれないでしょう。
これまでのご縁からのご紹介で生かされている、大事にしてきたからこそ実っていると思います。

●西川:
龍滝さんの、何か必要なことがあった時の決断の速さが、最善の方向に進んでいますよね。
まずは、ご実家に戻られるときも、お父さんのことを他に任せることだってできたはずですが、ご自身が一緒に暮らす決断をされたということ。
離婚のことも、そうですよね。

●龍滝:
それはね、長所でもあり、短所ね。
表裏一体。
決断力はリーダーシップと言われるけど、見る人が見たら、横暴だし偉そうだって。
わたしは、人の真似をするのは嫌だから、誰もやっていないことをやるのが好きで、新しい事、限定、オリジナリティに弱いんです。

●西川:
反対側の目線に立ってみるとそういうこともあるかもしれませんね。

●龍滝:
後先考えないで行動しちゃうので、実家帰るとか、離婚するとか、イベントするとか、自分のスケジュールを考えずにやってしまうから、後で失敗したなと思っても、やっぱりその時は必要だったから、やりますって言葉が出たんだよなと。
潜在意識とか直感が導いてくれるから、選んだことにくよくよするよりも、決めてからどう動くか考えることが好きかな。

●西川:
フルタイム勤務で、オフの日には、イベントも企画する、なんてバイタリティの塊じゃないとできないですよね。
実は昨年、わたしがパートを掛け持ちしたのは、龍滝さんが子育て支援をセミリタイアしてフルタイム勤務をしているとお聞きしたことが動機づけだったんです。
私は今のところプレシングルですけど、子どもの教育費など、必要に迫られて稼ぐということはどういうことか、やれるだけやってみようと思いました。
ちょっと目算誤って仕事を抱えすぎてしまったのが誤算だったんで、体を壊したこともあり、失敗点はありましたが、あれこれ悩んでいるよりも、来たご縁に乗っかってみようと思いました。
今年は少し緩めて自分の活動に立ち返ってみようと思っていたところです。
とはいっても春からとある会社に新たに入ることになっているんですがね。

●龍滝:
その上、PTA活動もやっているんでしょ?
体壊さないでよ。四十肩になった時には、適度に運動したり、温めたりして良くなったから、お大事にしてよね。

●西川:
龍滝さんも、商売道具の喉をどうぞお大事にしてください。

●龍滝:
ありがとうございます。ほどほどに気をつけます。

●西川:
よいライスワークとライフワークにきっと、恵まれますように。
今日はお忙しい中、お時間を割いていただきありがとうございました。

編集後記

今回は、子育てと実親のお世話というダブルケアを経験し、さらに家計を支えるための仕事と、地域貢献のための慈善事業を手がけるシングルマザーのお話をお伺いしました。

取材の最中、にぎやかな商業施設で元気に走り回るお子さんたちの姿は、健やかに成長していることを表しているように感じられました。

また、自ら子育て支援活動を始めようとしているママさんがイベントに参加していました。
彼女のために情報やご縁をつなごうとお世話をしている様子も垣間見ることもできました。

自分の実績から生み出したご縁を独占するのではなく、多くの子育て支援者にその情報をシェアし、より広く地域のためになるようなお膳立てをしてくださるというのも、龍滝さんの素晴らしいところです。

ひとり親世帯の経済的な自立のためには、様々な行政からの様々な支援策があります。

北海道に関しては、ひとり親になる前から、世帯主のみ、または夫婦で共働きをしていたとしても、賃金水準の低さや雇用の不安定さ、景気の悪さなども影響して、子どもを育てていくために十分な収入を得ていくということが難しい場合もあります。

実際に、これまでにお話をお伺いしたひとり親の方からも、経済的な理由による離婚という事例もありました。
中には、ひとり親支援策を利用したほうが、経済的に安定したというご意見もありました。

「国民生活基礎調査」によると、日本の子どもの貧困率は、平成24年に過去最悪の16.3%となっており、子どもの6人に1人が平均的な所得の半分以下の世帯で暮らすという厳しい状況となっています。
このため、子どもの将来がその生まれ育った環境に左右されることのないよう、平成26年1月、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行されました。

北海道では、生活保護世帯の割合が全国1.70%に対し、3.16%。
ひとり親家庭の割合が、全国1.63%に対し、2.27%といずれも上回っていますし、増加傾向が続いています。
そのため、平成27年度から5年間を計画期間とする「北海道子どもの貧困対策推進計画」を策定し、教育・福祉・労働教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援等の施策が行われています。

その中には、子どもたちへの成長段階においての切れ目のない支援、行政と民間の連携、地域の社会的重要な課題としての理解を深めることなどが含められています。

特に、子どもたちが安心して暮らすことのできる生活を確保するためには、経済的な自立が不可欠です。
様々な支援策を上手に活用し、さらには、能力に応じた正当な対価が得られるような職場環境、賃金ベースのアップなども求められます。

また、今回の離婚に至る理由の一つとして、経済的な厳しさ以上に、夫の家事・育児への非協力と、社会的な活動についての無理解があげられます。

龍滝さんのように、子育て支援について自ら問題意識を持ち、地域貢献のために持てる力と時間を費やし、実際に成果を出しているという社会的に意義のある活動に対して、意外と家族からの理解が得られないという残念な現状があります。

金銭を生み出すための仕事だけが評価されるわけではありません。
PTA活動や町内会などのボランティア活動も、手元に金銭的な対価が残されるという成果以上の価値を生み出している重要な仕事と言えます。
特に、子育て支援については、そういった地域のマンパワーに依存して行われてきたという現状があり、それについては議論の余地は十分にありますが、未来を担う子どもたちのためにより良い環境づくりのためには、まだまだ必要な事柄なのです。

地域貢献事業については、活動=収入というイメージが付きにくく、受益者負担になりにくい現状から、担い手たちが活動を続けられるように、手弁当で活動をするばかりではなく、せめて活動経費、さらには活動をする人たちの生活の維持を含めた仕組みづくりも叫ばれています。
また、活動をしている私たち自らにも、やりがい、生きがいを見出しより子育てを楽しむことのできる動機づけになっているのです。

イクメンという言葉が出来てから、家事・育児に積極的にかかわる父親たちも増えてきたことは歓迎しますが、物理的な作業の分担だけではなく、心にも寄り添いあうような理想の子育てが夫婦ともに出来たとしたら、もしかしたら、ひとり親家庭の増加の歯止めになるのかもしれません。(ウタリくらぶ記者・西川明子

[リンク]北海道子どもの貧困対策推進計画(平成27年度~平成31年度)
[リンク]子育て支援とNPO 朱鷺書房

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<龍滝知佳さんプロフィール>

北海道札幌市在住、子育て支援活動と企業の研修担当講師としてのフルタイム勤務を両立している。
小学4年生の長女と、保育園年長組の長男の母親。(2018年2月現在)
「子供がいるからこその出会いと学びを大切に」をモットーにマザーズスキルサポート代表として託児付きの講座やイベントなどを多数企画・主催している。
チャイルドセラピスト、ベビーマッサージ講師として活動するほか、様々な企業のイベント企画やPTA向け育児講演会の講師としても活躍。
4年前までは小樽市に在住し、イベント主催・子連れ向けカフェ運営等、多岐に渡って活動を行っていた。メディア掲載多数。

【参考リンク】

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投稿:   更新:2018/03/02

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