ひとり親家庭のための、ウタリくらぶ

ウタリくらぶでは、ひとり親家庭に役立つ情報をお届けします。

    【ひとり親事例紹介 vol.007】 珠帆 美汐さん:第6回~親も子どもも幸せな形を求めて~

    投稿:   更新:2017/06/18

    カテゴリー:北海道 家族関係 地域別情報 特集記事

    さて、珠帆さんたちが出した結論はどんなカタチだったのでしょうか。いよいよ最終回、シンママ、シンパパ、プレシングルの方も、未婚、結婚中の方も、ぜひご覧ください。

    ウタリくらぶでは、実際にひとり親当事者や支援者である方にもインタビューを重ね、家庭生活や子育て、働き方について生の声をお聞かせいただき、読者の皆様により身近な情報をお伝えしています。ウタリくらぶ担当記者・西川明子です。

    これまで、取材活動を通じて、
    ひとり親当事者の方には、日々の子育てやお仕事などの実態について、
    また、ひとり親を対象に含む支援活動をしている団体や行政の担当者の方には、ひとり親自身や子どもたちへ様々なアプローチを通して支援をしている様子について、直接お話をお伺いしてきました。

    さて、今回お話を聞かせていただいた方は、上記のどちらにも当てはまらない方です。
    しいて言えば「プレシングル」さんである、ということでしょうか。
    または支援者側に近い側面もあるかもしれません。

    第一回目は取材のきっかけ、パートナーとの出会いについて、
    第二回目は、結婚して憧れの田舎生活スタート、その実態とは……?、
    第三回目、無人島の中の一軒家とでもいうような過酷な環境の中、得意なお仕事をするに至るまで、
    第四回目は、得意なことをお仕事にして起業され、パートナーとの関係性はどう変わったのか? を掲載しました。
    第五回目は、離婚してくださいと切り出して、、、というお話でした。

    今回は、一年間を経てどのような形になったのか? 珠帆美汐(たまほ みしお)さんへの取材記事、最終回です。
    ぜひご覧ください。(この取材記事は6回にわたって掲載します。)

    ***

    努力した一年間を経て

    ●ウタリくらぶ記者・西川明子(以下、西川):
    一年離婚するのを待ってくれ、とご主人様の努力でよいパートナーシップがとれたとのことですが、結局は、お互いほかに恋人を持つという選択をされるのですよね。

    ●珠帆美汐さん(以下、珠帆):
    一年間関係を見直して夫婦としての仲良さは上がったのですが、性の相性が合うようになることや深い対話ができるようには、やはり急にはならないんです。

    ●西川:
    お子さんたちはこのことをご存じなのでしょうか?

    ●珠帆:
    知っています。
    照れや気まずさがあって言えなかったんですが、全国テレビに出たときにいい機会だと思って、長男は就職していてアパート暮らし、次男は高校生で寮に入っていて、家から出ているので電話で伝えました。
    娘は直接話しましたがわかっているんだかいないんだかという感じです。

    ●西川:
    隠しているわけではないんですね。

    ●珠帆:
    夫にも今は彼女がいるので、家にも来ているらしいですね。
    娘にも「●●ちゃん、きていたよ」なんて言われます。

    ●西川:
    オープンにしているのですね。
    お子さんたちも受け入れていらっしゃるようですね。
    実は、うちの長男の同級生で、父親と暮らしている女子がいるのですが、お父さんの彼女のことで悩んでいるということを聞いたことがあります。
    親自身が悩みの種の場合、なかなか相談する場がないようで。
    ひとり親支援策は充実が進んでいるのですが、子どもへの直接的支援が少ないようです。

    ●珠帆:
    スクールカウンセラーがいますよね。

    ●西川:
    その子自身が望んで相談したらいいのでしょうけど、なかなかそうならない場合。
    非行に走るとか、命にかかわることをするとか、学校に来なくなるなどの問題行動を起こす前に何かできることがないのかなと。
    そのあたり、調べているところです。

    ●珠帆:
    私自身、半崩壊家庭出身で、父親が外に家庭を作って全然帰ってこない家だったんです。
    親を反面教師にして、親も子どもも幸せな家庭を作りたいと思い、無事成し遂げた。
    それでこの形になったんですよ。
    わたしの実家は、ウソと欺瞞だらけで、言葉に出してはならないタブーの言葉、母は影で「お父さんはあなたたちを愛していない」「父親だと思うな」しかも姉は「お父さんとそっくり」と言われたりして、なにかあったら「でていく」と脅かされながら「あなたたちのために離婚しない」と恩を着せられてきたので、そんな子育てをしないと決めて、そのためには母のように不幸ではなく、自分自身が全力で幸せにならなくてはならない、とこの道を選びました。
    旦那の愚痴を子どもに言わないで、ちゃんとけんかしているところや仲良くしているところを見せて、話し合って謝ってというところを見せます。
    自分の人生の責任は自分でとります

    ●西川:
    子どもにパートナーの悪口を言わないというのはとても大切なことのようですね。
    片方の親の悪口を言われることによる子どもの精神疾患があるのですが、それを病気に分類するかという議論があるようなんです。
    なかなかむずかしいですけど。

    ●珠帆:
    夫婦間の問題は我慢していたら一番悪いので、本人同士でちゃんとバトルして解決するのが一番だと思いますよ。

    ●西川:
    気になったのですが、彼氏さんの方にはご家庭があるのでしょうか?

    ●珠帆:
    いないです。
    若いので結婚したいのではないかと、もう子どもも産めないし、申し訳ないと思っていたのですが、彼の方からほかのパートナーを持つという可能性があるということを切り出されたので、よかったなと思いましたね。

    最後にひとかたり

    ●珠帆:
    もうひとつ語っていいですか?
    私の育った家庭環境のこともあり、お父さんとお母さんが仲良くしている中で、子どもには育ってもらいたい。
    そのためには、片方が我慢していたらダメなんです。
    うちは両親が離婚をせずに経済的には守られ続けましたけど、愛は実感できなかった
    自分のせいで母は不幸だといわれ続けたんですよ。
    あなたのせいで離婚ができずにこんなに辛い思いをしていると。
    そのために考え抜いたんですが「ひとりの個人の中で、男性性と女性性が見事なパートナーシップを取っている」ことが実現したとしたら、そのような人同士がパートナーシップを組むと、その家庭がどんな形だったとしても、女性性としての「穏やかで共感的で受容的」さらに、男性性としての「外敵からその場所を守り、けじめやルールや制度を守り、お金も入ってくる」という両方があれば、その家庭は安心で安全なところになれる。
    そういう調和のとれた人間を作るための活動、幸せに育つ子どものための家庭をつくるために。
    そういう家庭が増えると、世界が平和になることにつながる。
    だからこういう発信や、生き方も見せることもその一環なんです。
    個人の中の男性性と女性性の融合ができると、やりたいことができて、表現もできるようになる。そういった場を作っていきます。

    ●西川:
    自分の中の葛藤を解決しなくちゃならないんでしょうし、親からの育て方が自分の子育てにもかなり影響をうけていることも感じています
    この先の未来を担う子どもたちが、次の世代を産み育てるときに、社会で子育てをしていく、そして個々人のなかの男性性と女性性が融合をして調和がとれているような人格を育てることができるように、わたしたちがいまできることを、探していきたいですね。
    たまちゃんがされているお仕事のなかで「狂乱カラオケ」というイベント、とても興味があります。
    きっとわたしのインナーチャイルドも発揮されるのでないかと期待しています。
    いつか参加させていただきたいですね。

    今日は、お話を聞かせていただきありがとうございました。

    編集後記

    取材記事で初めて、「ひとり親」でもなく「支援団体・行政」という立場にいるわけではない方の経験談をお伺いしました。

    まさに運命の人ともいうべき、お互いに理想の相手、環境を手に入れたとしても、分かり合えないすれ違いどうしても妥協できないことが出てくることがあるかもしれません。

    夫婦がそれぞれほかに恋人を持つことを選択する、というのは、誰もが受け入れられることではないでしょう。
    浮気、不倫が原因で離婚に至る夫婦も多いからです。

    誰でも真似がすぐにできるということではありませんが、わたしがなぜ彼女のストーリーを描いてみたいと思ったかというと、機能不全家庭で育ち、それが離婚家庭ではなかったにもかかわらず、その後の人生において彼女へ大きな影を落としており、また彼女のお母さんにとっても、きっとその時には子どもたちのために離婚をしないことは最善の選択であったにもかかわらず、その環境が子どもたちにとってはその後の人生においての生きづらさの原因になっているということです。
    夫婦のどちらかが我慢を強いられて、それを子どものせいにしつづけたりしたのなら。どんなにか辛かったことでしょう。

    家族の中ですべての問題が解決できればもちろん最善ですが、もしそうではないのならば、「部分的離婚」という選択もあるのではないか、と感じました。

    そういった用語があるかどうかはわかりません。
    これは母乳育児における卒乳、断乳における議論において「部分的卒乳」という表現があることから思いつきました。
    それは断乳というのはいわゆる授乳をやめるという選択であり、婚姻関係にあてはめるなら離婚です。
    そうではなく、一時的に授乳を制限し、他のもので代用することを部分的卒乳と表現します。

    今回のケースでは、離婚という選択肢をとらず、夫婦関係としては継続するとともに子どもを引き続き養育していくことには変わりがなく、家庭内で担っている機能の一つ、深いコミュニケーションや性関係のみを外部に委託するという方法です。

    ご家庭によってケースバイケースではありますが、もし夫婦双方、離婚することを望んではいないが、何か特定の問題があるときに、それを決め手に離婚を選択することをしない、という考え方も、一つの方法ではないかと思いました。

    また、この夫婦については、分かり合えないからと物別れに終わるのではなく、とことん話し合い、テスト期間を1年設けるなどして、夫婦関係の修復への努力もしていました。

    なかなかコミュニケーションがうまくいかなくなった段階で、話し合いさえ難しいかもしれません。
    ただ、人として尊敬しあい、分かり合えるまで話ができるような、そんな関係性を早期から作っておくことの大切さも感じられました。

    現代において親になっている世代は、性別役割分担の考え方もあり、すぐに考えを変えることも難しいでしょうし、コミュニケーションやパートナーシップについて考える機会があまり与えられてきませんでした。
    海外の教育環境なども調べるときに、国内でも、次世代を育成するにあたって、教育の中で取り入れていくようになることを切に願います。

    最後に、自分の生き方は一人の親として子どもの育ちに最も影響するのだということを考えさせられました。

    (ウタリくらぶ記者・西川明子

    ***

    <珠帆 美汐(たまほ みしお)さんプロフィール>

    兵庫県姫路市生まれ、早稲田大学卒。大学卒業と同時に結婚、北海道余市郡赤井川村に移住。
    専業主夫と三人の子どもの母親。
    家庭を養う大黒柱として、パーソナルコーチ、タロット占い師として活躍している。

    【参考リンク】

    【ウタリくらぶ内関連リンク】

    【ひとり親事例紹介 vol.007】 珠帆 美汐さん:第1回~既存の価値観に捉われないカタチ……パートナーとの出会い~

    【ひとり親事例紹介 vol.007】 珠帆 美汐さん:第2回~都会から北海道へ移住・理想と現実の違い~

    【ひとり親事例紹介 vol.007】 珠帆 美汐さん:第3回~奴隷状態から、大黒柱へ~

    【ひとり親事例紹介 vol.007】 珠帆 美汐さん:第4回~人に雇われるのではなく、起業~

    ひとり親事例紹介 vol.007】 珠帆 美汐さん:第5回~離婚してください~

    ウタリくらぶの取材記事一覧へ

    投稿:   更新:2017/06/18

    カテゴリー:北海道 家族関係 地域別情報 特集記事

    ウタリくらぶに記事掲載をご希望の方は、お問い合わせフォームよりご連絡下さい。

    その他、制度改正等に伴い掲載された内容が最新のものと異なる場合などお気づきの点がございましたら、お手数ですが同様にお問い合わせフォームよりご指摘頂けますと幸いです。

    ひとり親家庭の方々に役立つ情報発信に、皆様のご協力をお願いします。